釣ったアジを持ち帰ったら、まず作ってみたい料理のひとつが刺身です。身の弾力とほどよい脂をそのまま味わえ、しょうがや青ねぎ、大葉などの薬味を添えるだけでも一皿になります。
きれいに仕上げるポイントは、三枚おろしにしたあとで腹骨と血合い骨を取り、皮をむいてから身の厚さに合う切り方を選ぶことです。小さめのアジは細造り、中型は平造り、厚みのある身はそぎ切りにすると食べやすくなります。この記事では、材料と基本の作り方を先に確認し、そのあとで下処理、三枚おろし、骨取り、皮むき、切り方、盛り付けまで順番に解説します。
アジの刺身の材料
| 材料 | 目安 |
|---|---|
| アジ | 食べる人数と魚の大きさに合わせて |
| しょうゆ | 適量 |
| おろししょうが | 適量 |
| わさび | 好みで |
| 大葉・青ねぎ・みょうが | 好みで |
| 大根のつま・すだち・レモン | 好みで |
基本の作り方
まずは刺身になるまでの流れを確認します。細かな包丁の入れ方や失敗しやすい点は、このあと工程ごとに説明します。
- 下処理する:ウロコとゼイゴを取り、頭と内臓を外します。腹の中を短時間洗ったら、水気を拭きます。
- 三枚におろす:腹側と背側から中骨へ包丁を入れ、左右の身を中骨から外します。
- 骨を取る:腹骨を薄くすき取り、身の中央に残る血合い骨を骨抜きで抜きます。
- 皮をむく:頭側から皮をつまみ、身を押さえながら尾側へむきます。
- 刺身に切る:身の厚さに合わせて、細造り・平造り・そぎ切りにします。
- 盛り付ける:清潔な皿へ盛り、しょうが、青ねぎ、大葉など好みの薬味を添えます。
工程1|ウロコ・ゼイゴ・頭・内臓を取る
ウロコとゼイゴを取る
アジをまな板へ置き、尾から頭へ向けて包丁の刃先やウロコ取りを動かし、表面の細かなウロコを落とします。尾の付け根から体側に並ぶ硬いトゲ状の部分がゼイゴ(ぜんご)です。
ゼイゴは尾側から頭側へ向けて、包丁を寝かせるように入れて薄くそぎ取ります。深く切り込むと身まで削ってしまうので、硬い部分のすぐ下へ刃先を入れて少しずつ進めます。皮をむくときに一緒に外す方法もありますが、初めて三枚おろしをする場合は最初に取っておくと作業中に手へ当たりにくくなります。
頭と内臓を取り、腹の中を洗う
胸びれの後ろへ包丁を入れて頭を落とし、腹を開いて内臓を取り出します。中骨の下側に赤黒い血や汚れが残っていれば、指先や包丁の先で取り除きます。
腹の中は流水で短時間洗い、洗い終えたらキッチンペーパーで腹の中と魚体表面の水気を拭き取ります。水に浸したまま置かず、洗う→拭くまでを続けて行います。
内臓処理が終わったら、包丁・まな板・手を洗って水気を拭き、ここから刺身になる身を扱います。
工程2|アジを三枚におろす
三枚おろしでは、最初から中骨ぎりぎりへ深く切り込むより、腹側と背側へ浅い切れ目を入れてから中骨へ近づける方が、初心者でも身を大きく残しやすくなります。
- 腹側から中骨へ向けて、骨に当たるところまで浅く包丁を入れます。
- 魚の向きを変え、背側からも中骨へ向けて切れ目を入れます。
- 尾の付け根から中骨の上へ包丁を入れ、中骨に刃を沿わせながら頭側へ進めて半身を外します。
- 魚を裏返し、反対側も腹側・背側から切れ目を入れて、もう一枚の身を外します。
身を手で引っ張って骨からはがすと身割れしやすいため、包丁で骨と身を離してから半身を持ち上げます。
工程3|腹骨と血合い骨を取り除く
三枚におろしたら、先に腹側へ並ぶ腹骨を取ります。包丁を寝かせ、骨のすぐ下へ刃を入れて、身を厚く削らないよう骨だけをすくう感覚で薄くそぎ取ります。
次に、半身の中央を指の腹でなぞります。硬い骨先が当たる部分が血合い骨です。骨抜きで根元をつかみ、骨が入っている方向に沿ってゆっくり抜きます。抜き終えたら、もう一度指でなぞって取り残しがないか確認します。
| 身の状態 | 骨の取り方 | 向いている方法 |
|---|---|---|
| 身が薄い・小さめ | 骨抜きで1本ずつ抜く | 身をできるだけ残したいとき |
| 身が厚く、中央の骨が取りにくい | 背身と腹身に分け、骨の並ぶ中央を細く切り取る | 良型で身幅に余裕があるとき |
血合い骨をつまみにくいときは、先端がずれずに合う魚の骨抜きを使うと作業しやすくなります。
工程4|頭側から皮をむく
骨を取り終えた半身は皮目を上に置き、頭側の切り口から皮を少し起こします。皮の端を指でつまみ、反対の手で身を押さえながら尾側へむきます。
皮を真上へ強く引くと、腹側の薄い身が皮についてはがれやすくなります。皮はまな板と平行に近い方向へ引き、身は上から軽く押さえると、身を残したままむきやすくなります。途中で身が皮についてきたら、一気に引かず、皮と身の境目を指で押さえながら少しずつ進めます。
アジは皮を手でむきやすい魚です。包丁で皮を引くこともできますが、初めてなら手でむく方が皮と身の境目を確認しながら進めやすくなります。
工程5|身の厚さに合わせて刺身に切る
切り方は魚の全長ではなく、三枚おろし後の身の幅と厚みで決めます。同じ半身でも頭側は厚く、尾側は薄いため、全部を同じ幅で切るより厚みを見て少し変える方が食べやすくなります。
スマホでは横にスクロールできます。
| 身の状態 | 切り方 | 包丁の入れ方 | 食感 |
|---|---|---|---|
| 薄い・幅が狭い | 細造り | 身を細めに切る | 小型でも一口で食べやすい |
| 中型で身幅がある | 平造り | 包丁を立て気味にして食べやすい幅へ切る | 弾力を感じやすい |
| 厚みがある | そぎ切り | 包丁を寝かせ、斜めに広い切り口を取る | 厚い身も口に入れやすい |
| 端の身・形が不ぞろい | 細切り | 形をそろえず細めに切る | 薬味と合わせやすい |
包丁は身を押しつぶすように何度も往復させず、刃元から刃先まで使って手前へ一度で引きます。小型魚を刺身にする機会が多い場合は、アジ・メバル・カサゴ向けの柳刃包丁も候補になります。
端の身が多く出たときは、無理に刺身の形へそろえず、細かく切ってアジのたたきへ回すと使いやすくなります。
薬味と盛り付け
切った刺身は清潔な皿へ少し重ねるように並べ、しょうが、青ねぎ、大葉、みょうがなどを添えます。脂を強く感じるアジなら、すだちやレモンを少量搾ると後味を軽くできます。
- しょうが:アジの香りと合わせやすい定番の薬味です。
- 青ねぎ:軽い辛味と食感を足せます。
- 大葉:青い香りを加えたいときに向きます。
- みょうが:香りをはっきりさせたいときに少量添えます。
- すだち・レモン:脂のある身をさっぱり食べたいときに合います。
盛り付け用の皿や薬味は、内臓処理に使ったまな板や手から汚れを移さないよう、洗った手と清潔な器具で扱います。
アジの刺身をきれいに仕上げるコツ
腹の中を洗ったら、その場で水気を拭く
洗ったアジを濡れたまま置くと、まな板の上へ水が広がり、三枚おろしや皮むきの作業もしにくくなります。腹の中を洗った直後にキッチンペーパーで水気を拭き、そのまま次の工程へ進みます。
骨は皮をむく前に取る
腹骨と血合い骨を取ってから皮をむくと、半身の形を確認しながら骨処理を進められます。血合い骨は指でなぞって位置を探し、抜いたあとにも同じ場所をもう一度確認します。
刺身は食べる直前に切る
半身のままの方が切った刺身より表面積が小さく、乾燥しにくくなります。すぐに食べない場合は切り分けを最後に回し、盛り付ける直前に刺身へ切ります。
刺身から別の料理へ展開する
同じ下処理をしたアジでも、切り方や味付けを変えると別の料理に使えます。握りや酢飯と合わせるならアジの寿司、オリーブオイルや酸味を合わせるならアジのカルパッチョ、切れ端や形が不ぞろいな身を味噌と薬味でまとめるならアジのなめろうへ展開できます。
釣ったアジを刺身で食べるときの注意点
ここからは、生食するときに確認しておきたい低温管理、アニサキス、衛生面をまとめます。作り方とは分けて確認し、釣った直後から食卓へ出すまでの扱いに当てはめてください。
釣れたら早めに冷やし、帰宅後も常温へ放置しない
アジはヒスタミン食中毒の原因食品になることがあります。魚が死んだあとに温度管理が悪い状態が続くとヒスタミンが生成されることがあり、一度できたヒスタミンは加熱や調理で取り除けません。
持ち帰るアジは釣れたら早めに冷やし、帰宅後も調理まで常温へ置き続けません。エラや内臓は早めに取り除きます。釣り場から家までの冷やし方は釣った魚の持ち帰りと処理のしかたでも確認できます。
アニサキスは早めの内臓除去と目視確認を行う
アジにはアニサキス幼虫が寄生することがあります。丸魚は早めに内臓を取り除き、三枚おろしにした身は明るい場所で両面を確認し、白く細長い異物が見つかった場合は取り除きます。
冷凍を対策として使う場合は-20℃で24時間以上、加熱する場合は70℃以上、または60℃なら1分が目安です。一般的な酢、塩、しょうゆ、わさびではアニサキス幼虫は死滅しません。
家庭用冷凍庫は機種や設定によって庫内温度が異なります。-20℃以下を保てるか確認できない場合は、家庭での冷凍だけをアニサキス対策として頼らないようにします。
内臓処理が終わったら器具と手を洗う
頭や内臓を処理した包丁・まな板・手は、そのまま刺身の仕上げへ使わず、一度洗ってから三枚おろし後の身を扱います。刺身を盛る皿や薬味も清潔な状態で用意します。
血抜きや神経締めをしている場合でも、低温管理やアニサキス対策は別に行います。
保冷できていたか分からない魚は無理に食べない
長時間ぬるい状態になった、保冷できていたか分からない、異臭や強い変色があるなど、状態に不安がある魚は生食に使いません。低温管理ができていなかった魚は、加熱してもヒスタミンがなくなるわけではないため、「火を通せば大丈夫」と考えて使い切らないようにします。
保存|食べる分だけ切り、残りは半身のまま冷蔵する
すぐに食べない分は刺身へ切らず、三枚おろしにして骨と皮を処理した半身のまま保存すると、切った状態より乾燥する面を少なくできます。表面の水気を拭き、清潔なキッチンペーパーで包んでからラップや保存容器に入れ、冷蔵庫で保管します。
食べるときは表面の状態を確認し、必要なら新しいキッチンペーパーで水気を取ってから切ります。生食できるかどうかは「釣った当日」「翌日」といった日付だけで決めず、釣った後の保冷と魚の状態を合わせて判断します。
よくある失敗と直し方
スマホでは横にスクロールできます。
| 失敗 | 起こりやすい原因 | 次に直すポイント |
|---|---|---|
| 三枚おろしで中骨に身が多く残る | 最初から深く切り込み、中骨の位置を外している | 腹側・背側へ浅い切れ目を入れ、骨に刃を沿わせてから身を外す |
| 小骨が口に当たる | 血合い骨の抜き残し | 切る前に身の中央を指でなぞり、硬い部分を骨抜きで処理する |
| 皮をむくと身まで付いてくる | 皮を真上へ強く引いている | 身を押さえ、皮をまな板と平行に近い方向へ引く |
| 身が水っぽい | 腹の中を洗った水分が残っている | 洗浄後、その場で腹の中と魚体表面の水気を拭く |
| 切り口がつぶれる | 包丁を何度も往復させている | 刃元から刃先まで使い、手前へ一度で引く |
よくある質問
小さいアジでも刺身にできますか?
三枚におろして食べる分の身が取れる大きさなら、小型でも刺身にできます。身が薄ければ細造りにすると一口で食べやすく、形がそろわない端の身はたたきやなめろうへ回せます。
ゼイゴは刺身でも最初に取りますか?
皮をむくときに一緒に外す方法もありますが、初めて三枚おろしをする場合は最初に取る方が作業中に手へ当たりにくくなります。尾側から包丁を寝かせて入れ、硬いゼイゴだけを薄くそぎ取ります。
皮は包丁で引くのと手でむくのと、どちらがよいですか?
アジは手で皮をむきやすいため、家庭では頭側からつまんで尾側へむく方法が取り組みやすいです。身が皮についてくる場合は、皮を上へ持ち上げず、身を押さえながら少しずつむきます。
アジが多く釣れた日の料理の分け方
数が多い日は、全部を刺身にせず、食べる人数とアジの大きさに合わせて料理を分けると下処理も進めやすくなります。
- 刺身用に形のよい身が取れた:刺身、寿司、カルパッチョ
- 端の身や形が不ぞろい:たたき、なめろう
- 小型がまとまって釣れた:アジの南蛮漬け
- 中型以上を加熱して食べたい:アジフライ、アジの塩焼き
- 別の日にも楽しみたい:アジの干物
料理を分けている間も、処理待ちのアジはクーラーボックスや冷蔵庫へ戻し、常温に並べたままにしません。
まとめ|骨を取って皮をむき、身の厚さに合わせて切る
釣ったアジの刺身は、ウロコ・ゼイゴ・頭・内臓を処理する → 水気を拭く → 三枚おろし → 腹骨・血合い骨を取る → 頭側から皮をむく → 身の厚さに合わせて切るという順で作ります。
小さめのアジは細造り、中型は平造り、厚みがある身はそぎ切りにすると食べやすくなります。まずは材料と基本手順を確認してから一尾ずつ処理し、最後に薬味を添えて、釣ったアジならではの刺身を楽しんでください。
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