カマスの一夜干しは、塩水に漬けた身の表面を乾かしてから焼き、ほどよく締まった白身と香ばしい皮を楽しむ料理です。冷蔵庫で干せば、外の天気や虫を気にせず仕込めます。
ここではアカカマスの骨を取った皮付きの片身を使い、濃度3%の塩水と冷蔵庫の冷気で仕上げます。翌日に中心まで焼いて食べる、薄塩の一夜干しです。
カマスの一夜干しの材料(2人分)
生の無塩の、皮付きの三枚おろしを4枚ほど、計250〜300g使います。厚い所が1〜1.5cm程度の身を想定しています。丸魚の重さではなく、頭・中骨・腹骨を除いたあとの身の重さです。
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| アカカマス(皮付き・骨を除いた身) | 250〜300g |
| 水(塩水用) | 485g(約485ml) |
| 塩 | 15g |
| 大根(盛り付け用) | 150g |
| レモン | くし形2切れ |
| 油(フライパンで焼く場合) | 小さじ1程度 |
水485gに塩15gを溶かすと、全体500gの濃度3%の塩水になります。水は家庭の計量では485mlを目安にできます。魚が漬からない場合は、水と塩を同じ比率で増やし、塩だけを足さないようにします。
必要な道具と冷蔵庫の準備
塩水用のバット、干すための清潔な網と受け皿、キッチンペーパー、はかり、骨抜き、包丁、まな板、魚焼きグリルを用意します。フライパンで焼く場合は、蓋と幅のあるへらも用意してください。冷蔵庫は4℃前後を目安に低温を保ち、魚が重ならずに置ける場所を先に空けておきます。温度を確かめる冷蔵庫用温度計と、焼く際の中心温度計があると管理できます。
一夜干しの基本の作り方
塩水へ漬ける時間が20分ほど、冷蔵庫で乾かす時間が8〜12時間ほどです。手を動かす時間は、下処理済みの身なら20分前後。翌朝または翌日の食事に焼く予定で仕込みます。
- 身を整える:うろこ、腹骨、小骨を取り、表面と腹側の血を洗って水気を拭きます。
- 塩水へ漬ける:冷たい水へ塩を溶かし、魚を浸します。冷蔵庫で20分ほど置きます。
- 水分を取る:塩水から引き上げ、ペーパーで皮と身の水滴を取ります。
- 冷蔵庫で干す:受け皿付きの網へ、身を上にして重ねずに並べます。冷蔵庫で8〜12時間を目安に、表面の濡れがなくなるまで乾かします。
- 中心まで焼く:干し上がった身をグリルで両面から焼き、厚い頭寄りを開いて確かめます。半透明な生っぽい身が残る場合は火を弱めて焼き続け、中まで加熱してから大根おろしとレモンを添えます。
干し上がった魚はまだ生です。冷蔵乾燥で殺菌できるわけではないため、工程5で中心まで加熱して食べます。
工程ごとの詳しい作り方
1.皮付きの身から骨と血を除く
アカカマスは細長く、頭付きの開きでは家庭のバットからはみ出すことがあります。左右の身と中骨に分ける三枚おろしなら、片身ずつ並べられ、食べる前の骨の処理も減らせます。片身が長すぎる場合は、頭寄りと尾寄りの二つに切って構いません。三枚おろしにして腹骨と小骨を除き、指で取り残しを確認します。
丸魚から作るときはうろこ取りで尾から頭へうろこを落とします。鋭い歯を避けて頭を外し、腹を浅く切って内臓と背骨沿いの血を取り除きます。洗って拭いたら中骨に沿って左右の身を外し、腹側の湾曲した骨を薄くそぎます。
身の中央に残る小骨は、指で位置を探して骨抜きで抜きます。乾かしたあとでは骨の周囲が締まって抜きにくくなるため、塩水へ入れる前に済ませてください。身を強く押したり折り曲げたりせず、冷えた状態で手早く扱います。
2.3%の塩水へ冷蔵庫で漬ける
冷たい水485gに塩15gを加え、底に粒が残らなくなるまで混ぜます。それから身を入れ、全体が塩水に触れるように並べます。重ねずに入らない場合は、容器を二つに分けます。漬け込み中も冷蔵庫へ入れてください。
厚さ1〜1.5cm程度の片身なら20分を出発点にします。1cmに満たない薄い尾側だけなら15分ほど、厚い頭寄りは20〜30分を目安にします。塩味は塩水の濃さ・時間・身の厚さで変わるため、初回から長時間漬けず、焼いた仕上がりを見て次回に調整しましょう。
3%は塩水そのものの濃度で、干し上がった魚の塩分が3%になるという意味ではありません。細長い片身は切断面が広く、薄い尾と厚い頭寄りでは塩味の付き方も異なります。塩味は焼いた一切れで確かめ、次回の漬け時間を調整します。
3.塩水を切り、水滴を拭き取る
魚を塩水から引き上げて汁を切り、皮と身の両面へペーパーを当てます。この薄い塩水の配合では、水洗いせずに水分を取って干します。使用後の塩水は捨ててください。特に腹側のくぼみと皮の端に残る水滴を取ってください。ペーパーが濡れたら新しく替えます。
水を落とさないまま干すと、網の下に水がたまり、接した部分が乾きにくくなります。拭いた時点で表面に大きな水滴がないことを確かめてから、干す網へ移します。
4.身を上にして冷蔵庫で干す
清潔な網を、ふちのあるバットや皿へ載せます。魚は皮を下、身を上にして並べ、隣の身と接しないように少し間隔を空けます。身を露出させて冷気に当てるため、魚へぴったりラップはかけません。
生魚の汁がほかの食品へ触れないよう、冷蔵庫の下段などへ受け皿ごと置きます。近くの調理済み食品やそのまま食べる食品は蓋付き容器へ入れ、魚の上に物を置きません。汁が触れない清潔な場所を確保できない場合は、網干しを始めず、塩水から上げて拭いた魚をその日のうちに工程5の方法で焼きます。保管中は容器やラップで覆って冷蔵してください。
一晩、8〜12時間ほどを目安に乾かします。薄い身は早く乾くので、6時間ほどで一度様子を見ます。これは仕上がりを確かめる目安で、保存できる時間を延ばす処理ではありません。干し上がりは、表面の濡れた光沢が消え、清潔な指で軽く触っても水分が付かず、持ち上げるとしなる程度。身の縁が硬く反り返るまで乾かす必要はありません。
皮側の下に水が残る場合は受け皿の水を捨て、網と接した位置を少しずらします。冷気がほとんど当たらない詰め込み状態では乾きにくいため、庫内の食品配置を整えます。翌朝も表面が湿っていたら、冷蔵を続けて干し終わりを待つより、塩味の付いた切り身として工程5で焼きます。低温を保てなかったものや異臭のあるものは、焼いて使おうとせず捨ててください。
乾燥中も冷蔵庫に入れ、室内やベランダへ移して干す方法は、このレシピでは使いません。
頭側と尾側を切り分けて干した場合は、全部を同じ時刻まで乾かす必要はありません。薄い尾側が先にさらっとしてしなる状態になったら取り出し、包んで冷蔵して、その日のうちに焼きます。厚い所が乾くのを待って尾まで硬くしないようにします。
5.グリルで中心まで焼き、添え物と盛る
焼く前に大根をすりおろして軽く汁を切り、レモンを切って清潔な器へ分けます。それから魚を出し、機種の説明書に従ってグリルを予熱します。受け皿に水が必要な機種は指定量を入れてください。両面焼きは身を下・皮を上に置き、中火で焼き、薄い尾側の焼き色を早めに見ます。片面焼きは熱源に近い側へ皮を向けて焼き色を付け、返して身側も焼きます。
両面に焼き色が付いてきたら、厚い頭寄りを少し開き、中心まで不透明になり、身がほぐれるかを確かめます。半透明で生っぽい所が残る、または火通りに迷うときは、火を弱めて加熱を続け、同じ厚い中心をもう一度開いて確かめます。薄い尾側とは別に確かめてください。表面の乾きや白さは干したときから変わっているため、外側だけを見ず中心を開くことが大切です。
中心温度計を持っている場合は、身の横から厚い中央へ差し、中心75℃で1分以上を目安に加熱します。届かなければ加熱を続けて測り直してください。身の見た目とほぐれは手掛かりで、この温度と時間の達成を保証するものではありません。
火が通った切れから清潔な皿へ移し、大根おろしとレモンを脇へ添えます。焼きたてを食べましょう。
フライパンで焼く場合
直径26cm程度のフライパンに油小さじ1程度(二回に分ける場合は、分量の半量ずつ)を薄く広げ、中火で温めます。魚が重ならずに入らない場合は、魚と分量の油を二回へ分けます。皮側を下にして3分ほど焼き、へらで支えて返します。中弱火で2〜3分ほどから厚い中心を開いて確認し、生っぽい所が残る、または火通りに迷う場合は弱火で蓋をして1分程度ずつ追加加熱し、同じ厚い中心を開いて再確認します。温度計があれば工程5の条件で確かめます。火の通った切れから取り出し、同じように添え物と盛ります。
ここで作った厚さ1〜1.5cm程度の身を、凍っていない状態で焼く目安です。自分で冷凍した一夜干しは、後述のとおり冷蔵庫で解凍してから焼きます。干物にはすでに塩味があるので、焼く前に塩を振り足さないでください。
しょっぱい・硬い・乾きにくいときの対処
焼いたら塩味が強すぎた
焼いた身を骨に注意してほぐし、味付けしていないご飯や大根おろしと少しずつ合わせます。しょうゆやポン酢は足さずに食べてみてください。
次回は同じ濃度の塩水で漬け時間を5分ほど短くし、一度に濃度と時間の両方を変えないようにします。小さな身を大きな開きと同じ時間漬けると塩が入りすぎやすいため、厚さ別に取り出します。
身の端が硬くなった
乾かしすぎた身は、焼くとさらに水分が抜けます。フライパンで焼く場合も、皮の色を濃くしすぎず、上の方法で中心までの火通りを確認して取り出します。すでに硬く焼けたものはほぐし、汁気のある大根おろしなどと合わせましょう。次回は時間を短くし、縁が反る前に乾燥を止めます。
一夜干しの衛生と保存
仕込む魚は、釣った直後から低温を保ったものを使います。内臓は早く取り除き、持ち帰りと下処理の間も保冷します。異臭や身の崩れがあるもの、冷却の経過が不明なものは使わないでください。
干し上がりは加熱前の魚として扱い、器具や手を洗浄してから添え物と焼き上がりに触れます。骨を抜いたものでも、食べるときに取り残しを確認してください。
干し上がった日に焼くか、使う分ずつ冷凍する
この薄塩の一夜干しは、水分の多い生の加工魚として扱います。干し上がった日に焼くのを基本にし、すぐ焼かない分は一枚ずつ密着するように包み、冷凍用袋へ入れ、空気を抜いて冷凍します。乾燥したまま冷蔵庫へ何日も置き続けないでください。
冷凍日は袋へ書き、風味が落ちる前に使うため2週間ほどを目安に予定を立てます。保存期限の保証ではなく、原料の状態や冷凍庫の開閉でも品質は変わります。解凍は受け皿に載せて冷蔵庫で行い、水気を拭いてから中心まで焼きます。
焼いたあとに残った分は早く冷やす
焼いた魚を残す場合は、食卓へ長く置く前に浅い容器へ取り分け、手早く冷まして冷蔵します。翌日までに食べ切る予定で扱い、温め直すときは魚一人分につき水大さじ1程度と一緒にフライパンへ入れ、蓋をして弱火で蒸し焼きにします。水がなくなる前に少量ずつ補い、厚い中心を開いて冷たい所があれば追加加熱し、同じ中心を再確認します。温度計があれば中心75℃以上を目安に確認します。常温で長く放置したものを、再加熱だけで安全に戻そうとしないでください。
保存用レシピまとめ
冷蔵庫で乾燥させ、グリルで焼く干物の材料と手順を、一枚で振り返れます。


