電動リールは、最初に船宿が指定するPEラインの号数と必要な長さを確認してください。たとえば「PE2号を300m」と指定されているなら、PE2号を300m以上巻ける機種が候補です。リールの番手が大きく見えても、必要な太さのラインを必要量巻けなければ、その釣りには合いません。
PEラインとは、細い原糸を編んで作られた道糸です。電動リールの仕様にある「PE3号400m」は、PE3号を約400m巻ける容量を示します。必要な号数と長さは対象魚だけでなく、水深、オモリ、潮、地域、船宿のルールで変わるため、予約時の指定を最優先にしてください。
① 船宿指定のPE号数・長さを満たす → ② 竿を持って誘う時間に合わせて自重を見る → ③ 大型魚・重いオモリ・多点仕掛けなら、必要な最大ドラグ力と、メーカーが公表する高負荷時の巻き上げ性能を確認する → ④ 最後に操作方法と電源を確認、の順で選びます。ダイワとシマノでは番手の数字を同じ尺度として比較せず、実際の糸巻量で比べます。
船釣りが初めての方は、予約から乗船までの流れも先に確認しておくと、船宿へ聞く項目を整理できます。
電動リールのサイズは「番手」よりPE糸巻量で確認する
電動リールには100、200、300、600、1000、3000、6000などの数字があります。これを一般に「番手」と呼びますが、ダイワの300番とシマノの300番を同じ大きさとして扱うことはできません。メーカーやシリーズで番号の付け方が異なるからです。
購入前は、商品名の数字ではなく仕様表の「PE○号-○m」を見ます。たとえば今回の候補では、ダイワ レオブリッツ200Jとシマノ フォースマスター600はどちらもPE2号300mです。数字は200と600で違いますが、どちらもPE2号を300m巻けます。船宿指定がPE2号300mなら、次に自重480g/490g、最大ドラグ力8.5kg/10kg、JOG/タッチドライブという違いを比べます。
| 必要なラインの例 | 今回の候補 | 実際に確認すること |
|---|---|---|
| PE0.8〜1号を300m前後 | シーボーグ100J / フォースマスター300 | 細糸の指定か。PE2号が必要なら容量不足にならないか |
| PE2号を300m | レオブリッツ200J / フォースマスター600 | 手持ち時間、操作方式、必要なドラグ力 |
| PE3〜4号を300〜400m | レオブリッツ400J / フォースマスター1000 | 青物・コマセ・中深場などの負荷と、本体重量 |
| PE4〜6号を300m以上 | フォースマスター3000 | 多点仕掛け、重いオモリ、大型魚まで想定するか |
| PE8号600m / PE10号450m | ビーストマスターMD6000 | 超大物用。ロッド、竿受け、電源も大型魚仕様で揃える |
※魚種だけでPE号数を固定する表ではありません。同じタチウオ、マダイ、青物でも地域・釣法・船宿で指定が変わります。
電動リールを選ぶ5つの確認ポイント
1.船宿指定のPE号数と長さを最初に合わせる
予約ページや電話で「PE何号を何m巻くか」を確認します。指定がPE2号300mなら、PE2号200mの機種は外します。水深が100mだから100m巻ければよい、という決め方もしません。潮でラインが斜めに出ることがあり、途中でラインを切った後は残量も減るためです。
船宿から特に指定がない場合は、やりたい釣りの仕掛けと水深を伝えて推奨号数を確認してください。タチウオテンヤ、タイラバ、イカメタルのように、同じ船釣りでも使うラインは変わります。
2.竿を持って誘い続けるなら自重を先に見る
「手持ち」は、竿を竿受けへ置いたままにせず、手に持って誘いやアタリ取りを続ける釣り方です。今回の候補では375g、405g、480g、490g、560g、680g、795g、2070gと重量差があります。
タチウオやタイラバのように竿を持つ時間が長いなら、必要な糸巻量を満たす範囲で軽い機種を選ぶ意味があります。一方、沖イカの多点掛けや大物泳がせのように大きな負荷が掛かる釣りでは、軽さより糸巻量・ドラグ・巻き上げ性能を優先します。大型機を使う釣りでは船用竿受け・ロッドキーパーも重要です。
3.ドラグ力とモーターの巻き上げ性能を別に考える
ドラグは、設定した力を超えて魚が引いたときにスプールから糸を出し、ラインや仕掛けへ一気に力が掛かるのを抑える機構です。仕様表の「最大ドラグ力」は設定できる上限で、実際の釣りではラインやハリスの強さに合わせてそれより低く設定します。最大ドラグ力が大きい=モーターの巻き上げ力が同じだけ大きい、ではありません。
また、メーカーが公表する巻き上げ性能の指標名も同じではありません。ダイワにはJAFS基準巻上力などがあり、シマノには実用巻上持久力などがあります。名称と測定条件が違うため、「15kgだから11kgより上」といったメーカー横断の順位付けには使いません。ダイワ同士、シマノ同士で同じ指標を比較するか、各メーカーが示す対象釣法と仕様を確認します。
大型青物、重いオモリ、イカの多点掛けでは、魚の重さだけでなく仕掛けと潮の抵抗もモーターへ掛かります。そうした釣りでは、必要なPE号数・長さを満たしたうえで、同じメーカー内で巻き上げ性能の公表値を比較し、メーカーがその機種の対象として挙げる釣法も確認します。
4.JOGとタッチドライブは操作方法が違う
ダイワのJOGパワーレバーは、親指でレバーを動かして巻き上げ速度を変える方式です。シマノのフォースマスター300・600などはタッチドライブを採用し、指で押す・離す操作を中心に速度を変えます。
どちらが上という話ではなく、竿を握ったままどの指で速度を変えるかが違います。店頭で触れる場合は、竿を持つ手のまま速度変更、クラッチ操作、手巻きができるかを試すと購入後の操作を想像できます。
5.電源の電圧と船の設備を釣行前に確認する
電動リールはモーターを動かす電源が必要です。船に電源端子がある場合でも、利用可否や接続方法は船宿へ確認してください。船電源は発電機や配線の影響で電圧が不安定になる場合もあります。
対応電圧は機種ごとに取扱説明書を確認します。指定外の電源へ接続してはいけません。専用バッテリーを持参する場合も、リールが対応する電圧、容量、接続ケーブルを確認します。大物用の大型電動では必要な電源条件も確認し、対応バッテリー、ケーブル、船電源の利用可否まで釣行前に揃えます。
電動リール8機種を比較|PE糸巻量・自重・最大ドラグ力の違い
ここからは、PE1号300mを巻ける小型機から、PE10号450mを巻ける超大物用まで8機種を並べます。まず船宿指定のPE号数・長さを満たす機種だけを残し、次に竿を持つ時間に合わせて自重を比較します。大型魚・重いオモリ・多点仕掛けでは、最大ドラグ力とメーカー公表の巻き上げ性能も確認してください。
| モデル | 自重 | 代表的なPE糸巻量 | 最大ドラグ力 | 主な役割 |
|---|---|---|---|---|
| シーボーグ100J | 375g | 1号300m / 1.5号200m | 7kg | PE1号300m・375g |
| フォースマスター300 | 405g | 0.8号400m / 1号300m | 5kg | PE1号300m・最大215m/分 |
| レオブリッツ200J | 480g | 2号300m / 3号200m | 8.5kg | PE2号300m・480g |
| フォースマスター600 | 490g | 2号300m / 3号200m | 10kg | PE2号300m・最大ドラグ10kg |
| レオブリッツ400J | 560g | 4号400m / 5号300m | 13kg | 青物・沖イカ・中深場 |
| フォースマスター1000 | 680g | 3号400m / 4号300m | 15kg | 青物・中深場 |
| フォースマスター3000 | 795g | 4号450m / 6号300m | 20kg | 多点イカ・大型青物 |
| ビーストマスターMD6000 | 2070g | 8号600m / 10号450m | 43kg | キハダ・クエ・大型カンパチ |
主な仕様:自重405g / PE0.8号400m・1号300m・1.5号200m / 最大ドラグ力5kg
405gの小型ボディにPE1号300mを収めるモデルです。細いPEラインを使うタチウオテンヤ、電動タイラバ、メタルスッテなどで、竿を持ちながら電動の巻き上げを使えます。最大巻上速度は215m/分で、回収距離が長い場面でも仕掛けを戻す時間を短くできます。
向く条件:PE0.8〜1.5号を使い、軽い電動リールと速い回収を重視する釣り。
注意点:PE2号は150mです。PE2号を300m必要とする船では、レオブリッツ200Jまたはフォースマスター600の容量を確認します。
主な仕様:自重480g / PE1.5号450m・2号300m・3号200m / 最大ドラグ力8.5kg
PE2号を300m巻ける480gの小型電動です。100Jやフォースマスター300より太いラインを長く巻けるため、タチウオ、アジ、イサキ、マダイなどでPE2号を指定される船に対応できます。JOGパワーレバーは、竿を握った手の親指で巻き上げ速度を変える操作系です。
向く条件:船宿指定がPE2号300m前後で、手持ちの船釣りを中心に使う人。
注意点:PE3号は200mです。PE3号を300〜400m必要とするコマセ釣りや深いポイントでは、レオブリッツ400J(PE3号500m)やフォースマスター1000(PE3号400m)の容量を確認します。
主な仕様:自重560g / PE3号500m・4号400m・5号300m / 最大ドラグ力13kg
560gながらPE4号400m、PE5号300mを巻けるため、小型機では糸巻量が足りない青物、沖イカ、落とし込み、中深場へ範囲を広げられます。PE2号中心の200Jからわずか80g重くなる一方、巻けるラインの太さと長さは大きく増えます。
向く条件:PE3〜5号を300m以上使う船釣りで、できるだけ本体重量を抑えたい人。
注意点:船宿指定がPE1号300m前後なら、PE4号400mまで巻ける容量は必要ありません。船宿指定がPE1号300mなら、375gのシーボーグ100Jや405gのフォースマスター300へ下げると、本体だけで155〜185g軽くできます。
主な仕様:自重680g / PE2号600m・3号400m・4号300m / 最大ドラグ力15kg
PE3号400m、PE4号300mを巻け、最大ドラグ力は15kg。コマセマダイ、青物、落とし込み、中深場など、PE2号300mではラインの長さが足りない釣りや、最大ドラグ力15kgまで必要な釣りで候補になります。680gあるため、誘い続ける手持ち中心か、竿受けを多く使う釣りかも合わせて考えます。
向く条件:船宿指定がPE3号400mまたはPE4号300mで、680gの本体重量を許容できる釣り。
注意点:シーボーグ100J(375g)やフォースマスター600(490g)と比べると190〜305g重くなります。PE3〜4号を300〜400m必要としない釣りなら、その追加重量を持つ必要はありません。
主な仕様:自重795g / PE4号450m・5号350m・6号300m / 最大ドラグ力20kg
PE4号450m、PE6号300mまで巻ける795gの大型寄りモデルです。沖イカの多点掛け、泳がせ、大型青物、中深場など、魚の引きだけでなくオモリ・仕掛け・潮の抵抗が重なる釣りで、PE4〜6号を300m以上巻き、最大ドラグ力20kgまで設定できます。
向く条件:PE4〜6号を300m以上必要とし、重い仕掛けや多点掛けを電動で回収する釣り。
注意点:自重795gです。船宿指定がPE2号300mなら、レオブリッツ200J(480g)やフォースマスター600(490g)で容量を満たせるため、315g前後軽くできます。
主な仕様:自重2070g / PE8号600m・10号450m・12号380m / 最大ドラグ力43kg
PE8号600m、PE10号450mを巻け、最大ドラグ力43kg、実用巻上持久力38kgを公表するPE8〜10号を長く巻く大型電動です。キハダ、クエ、大型カンパチなど、太いPEラインと非常に大きな負荷を前提にした釣りで使います。自重2070gのため、PE1〜2号を使って竿を持ち続ける船釣りには向きません。
向く条件:船宿から太いPEラインと大型電動リールを指定される超大物釣り。
注意点:自重2070gです。竿受けを使う大型魚釣りを前提にし、電源・ロッド・竿受けまで同時に確認します。
「最初の1台」は自分が行く船のPE指定から決める
購入前に船宿指定のPE号数と必要長さを確認し、下の条件に当てはまる機種だけを残します。
- PE1号を300m前後:シーボーグ100J、フォースマスター300。PE1号前後を使い、竿を持って誘う時間が長い釣りでは、本体を375〜405gに抑えられます。
- PE2号を300m:レオブリッツ200J、フォースマスター600。船宿指定がPE2号300mなら、どちらも必要な300mを巻けます。
- PE3〜4号を300〜400m:レオブリッツ400J、フォースマスター1000。PE3〜4号を300〜400m必要とする青物、コマセ、落とし込み、中深場などで容量を満たします。
- PE4〜6号を300m以上:フォースマスター3000。PE4〜6号を300m以上巻き、最大ドラグ力20kgまで必要な沖イカの多点掛け、大型青物、重い仕掛けで確認します。
- PE8〜10号を長く巻く:ビーストマスターMD6000。自重2070gでPE8号600m・10号450mを巻く機種なので、PE1〜2号を使って竿を持ち続ける釣りの兼用機としては選びません。
同じ魚でも船宿の指定が違えば、上の区分も変わります。たとえばタチウオでもPE1号台を使う船とPE2号を指定する船があります。購入前に「狙う魚」だけを伝えるのではなく、釣り方・PE号数・必要長さ・オモリ号数まで確認してください。
購入前に見落としやすい4点
右巻き・左巻きの型番を確認する
同じシリーズでも右ハンドルと左ハンドルで型番が分かれることがあります。ダイワではJ/JL、シマノでは600/601のように表記が変わる例があります。商品ページを開いたら、シリーズ名だけでなく末尾まで確認してください。
PEラインを巻いた後はカウンター設定を行う
電動リールの液晶に表示される水深は、巻いたラインの設定と関係します。ラインを新しく巻いたときや号数を変えたときは、取扱説明書に従って道糸入力・糸巻き設定を行います。設定が合っていないと、船長が「底から10m」と指示しても自分の表示とのズレが大きくなる原因になります。
竿と竿受けが大型リールの負荷に合うか確認する
最大ドラグ力の大きい電動リールを選んでも、ロッドや竿受けがその釣りのオモリ・ハリス・魚の大きさに対応していなければ使えません。重いオモリや大型魚を狙う釣りでは、ロッドの適合オモリとハリス、竿受けの対応荷重を船宿の指定と合わせて確認します。
電源コードとバッテリーを前日に確認する
釣り場で初めて接続するのではなく、自宅で取扱説明書、電源コード、端子の状態を確認します。専用バッテリーを使う場合は充電も前日に済ませます。船電源を使う場合は、船宿に電動リール用端子の有無と利用方法を確認してください。
まとめ|PE号数と必要長さを決めてから電動リールを選ぼう
電動リール選びで最初に見るのは番手の数字ではなく、自分が乗る船で使うPEラインの号数と長さです。今回の8機種なら、PE1号300mはシーボーグ100Jまたはフォースマスター300、PE2号300mはレオブリッツ200Jまたはフォースマスター600、PE3〜4号を300〜400m使うならレオブリッツ400Jまたはフォースマスター1000が比較対象になります。PE4〜6号を300m以上使う釣りはフォースマスター3000、PE8号600m・PE10号450mが必要な超大物釣りはビーストマスターMD6000まで容量が上がります。
そのうえで、竿を手に持つ時間が長ければ自重、大型魚や重い仕掛けならドラグ力と高負荷時の巻き上げ性能、最後にJOGやタッチドライブなどの操作方法と電源を確認します。これで「番手だけ見て買ったら指定のPEラインが必要量巻けなかった」という購入ミスを避けられます。
次の釣行が決まっているなら、まず船宿の案内でPE号数・必要長さ・オモリ号数の3点を確認してください。船釣りの道具全体を見直す場合は、UmiZuriGuideの道具ガイドからロッドや竿受けも確認できます。
