アカムツ(ノドグロ)のちり鍋は、皮付きの切り身を昆布だしで煮て、ぽん酢を付けながら食べる鍋です。魚の脂が汁へにじみ、白菜や豆腐にも風味が移ります。鍋の中を濃いしょうゆ味にせず、食べる分ごとに味を調整できるのも作りやすいところです。
アカムツの身はやわらかいので、白菜の芯など火の通りにくい具を先に煮て、魚はあとから加えます。ここでは頭や骨を除いた切り身を使い、皮と身を崩さず取り分ける方法を紹介します。
アカムツのちり鍋の材料(2人分)
魚は標準和名のアカムツと確認し、皮付き・骨なしの可食部で300g使います。1切れの幅4〜5cm、厚さ1.5〜2cmほどを基準にします。
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| アカムツ(皮付き・骨なし切り身) | 300g |
| 白菜 | 200g |
| 木綿豆腐 | 150g |
| 長ねぎ | 1/2本、約70g |
| 生しいたけ | 2枚 |
| 水 | 700ml |
| だし昆布 | 5g |
| 食塩無添加の酒 | 大さじ2(30ml) |
| 塩 | ひとつまみ、約1g |
| ぽん酢しょうゆ | 1人分大さじ1〜2を目安に別添え |
ぽん酢は最初から鍋へ入れず、小皿で使います。濃く感じる場合は、十分に火が通った鍋の汁で少し薄めます。薬味を加えるなら、小ねぎや大根おろしなど好みのものを少量用意してください。
酒を使わない場合は同量の水へ替え、水は計730mlにします。アルコールを避けたい人には、加熱で必ず全て飛ぶと考えず、この方法を選びます。
皮が苦手なら、切り分ける前に皮を引いて使えます。骨付きの半身を使うなら、頭と内臓を除き、鍋へ収まる大きさに切ったものを用意します。骨際の加熱、食べる前の骨取り、締めの汁こしまで行います。冷凍品は冷蔵庫で中心まで解凍し、水気を拭いてから下処理します。
鍋と取り分ける道具
直径20〜22cm前後、容量2L程度の鍋を使います。魚鍋に使う土鍋は、熱源への対応、吹きこぼれない余裕、取り回しを確認します。金属製の浅鍋でも作れます。
生魚を入れるトングと、食べる具を取るお玉や箸を分けて用意します。中心温度計はあれば使います。卓上こんろを使う場合は、こんろの指定より大きい鍋や、ボンベの上を覆う鍋は使わず、換気しながら調理します。
包丁、まな板、骨抜き、熱湯を受ける耐熱ボウルと冷水用のボウル、水切り用のざる、鍋の蓋を使います。薬味に大根を使うなら、おろし器も用意します。骨付きで作るなら骨を外す皿と、締めの汁をこす細かい網のこし器・受け鍋も用意します。雑炊ならご飯150〜200g、うどんなら好みの量を準備します。
アカムツのちり鍋の基本の作り方
昆布の浸水を30分ほど行い、その間に魚と具材を準備します。鍋にかけてからは15〜20分程度を見込み、実際の魚の厚さと野菜の固さで調整します。
- 昆布を浸す:鍋へ水700mlと昆布を入れて30分ほど置きます。長く待たせる場合は冷蔵庫へ入れます。
- 野菜と豆腐を切る:白菜は芯と葉を分けて食べやすく切り、長ねぎは斜め切り、しいたけは硬い軸を除きます。豆腐は4〜6等分にします。
- 魚を下処理する:うろこ、骨、血を確かめて切り分けます。熱湯を手早くかけ、すぐ冷水へ取り、残ったうろこなどを除いて水気を切ります。
- 硬い具を先に煮る:鍋を温め、沸騰直前に昆布を取り出します。酒と塩、白菜の芯、長ねぎ、しいたけを入れ、5〜7分ほど煮ます。
- 魚、豆腐、白菜の葉を加える:煮立っている汁へ魚を重ねず入れ、豆腐と葉を空いた所へ加えます。再び煮立ったらアクを取り、穏やかな火加減で煮ます。
- 中心まで火を通す:4〜6分ほどから厚い所を少し開き、中心の透明感や生っぽさを見ます。生っぽさが残る、または迷う場合は静かに煮足し、同じ中心を再確認します。豆腐の中心としいたけにも十分に火を通します。
- 煮えたら取り分ける:魚を広く支えて取り、ぽん酢を少量付けて食べます。食卓でも強く煮立て続けないよう火力を調整します。
詳しい作り方
1.昆布を水へ浸す
鍋へ水700mlと昆布を入れ、30分ほど浸します。酒なしの場合は水を730mlにします。長く待たせるときは冷蔵庫へ入れ、土鍋が冷蔵庫に収まらなければ別容器で浸してから鍋へ移します。
2.野菜と豆腐、薬味を切る
白菜の芯は包丁を寝かせ、厚い部分をそぐように幅3cmほどに切ります。葉はざく切りにし、芯とは別に置きます。長ねぎは厚さ1cmほどの斜め切りにし、しいたけは硬い軸を取ります。大きなしいたけは半分に切ります。
豆腐は4〜6等分に切ります。薬味を使うなら、この段階で小ねぎを洗って刻み、大根をおろして汁を軽く切り、別々の器へ用意します。生魚の汁が付かないよう、野菜と薬味は魚より先に準備します。
3.魚を切り分け、霜降りする
アカムツはうろこが比較的柔らかいため、乾く前に軽く落とします。ひれの付け根や胸びれの下まで確かめ、頭、内臓、腹膜、中骨沿いの血を除きます。鋭い歯やひれの棘へ手を当てないようにしてください。
骨なしなら三枚におろして腹骨をすき取り、身を指でなぞって小骨を探し、骨抜きで骨の向きに沿って抜きます。抜けにくい骨は周りの身ごと細い帯状に除きます。皮なしで作る場合は、ここで半身の尾側から皮を引いてから切り分けます。骨付き半身は骨を残したまま、硬いひれや骨の位置を確かめます。
鍋で煮た身は層に沿ってほぐれるので、細かく切りすぎず、幅4〜5cmほどの切り身にします。皮付きは皮を上に置き、包丁を引いて皮まで切り離すと、つながった皮を引っ張って身を崩さずに済みます。
厚い背側と薄い腹・尾側は分けておきます。切り身の長さだけを短くしても厚みは変わりません。薄い所はあとから入れるか、中心まで火が通ったら先に取り出します。
冷水を用意してから、切り身を耐熱ボウルかざるへ並べ、熱湯を手早くかけます。皮付きは皮側を中心に、皮なしは表面をさっと温めます。色が変わり始めたらすぐ冷水へ移し、残ったうろこや血、骨片を除いて水気を切ります。使うまで冷蔵し、中心の加熱は鍋の中で行います。
4.白菜の芯、ねぎ、しいたけを先に煮る
昆布を浸した鍋を温め、沸騰直前に昆布を取り出します。酒30mlと塩約1gを加えます。酒なしなら酒は加えず、準備した水730mlに塩を加えます。白菜の芯、ねぎ、しいたけを入れて5〜7分ほど煮て、芯へ箸が入りやすくなったかを見ます。硬ければ魚を入れる前に煮足します。
5.魚、豆腐、白菜の葉を加える
魚を入れる前に、やわらかくなった白菜を端へ寄せ、切り身が重ならず汁に触れる場所を空けます。皮付きの身は皮を上にして置くと形を見やすく、煮えた後も下から支えて取れます。魚を入れてから野菜の底を探って混ぜると、アカムツのやわらかい身が割れやすくなります。入れた場所を覚え、食べる分だけ順に取り上げます。
野菜がある程度やわらかくなったら、汁が煮立っているところへ魚を入れます。豆腐と白菜の葉を空いた所へ加え、再び煮立ったら火力を落ち着かせます。魚同士がぶつかるほど強く煮ず、鍋の縁で小さな泡が続く程度を保ちます。
上面が汁から大きく出ている場合は、お玉で汁をかけるか、蓋を少しずらして蒸気も使います。煮えていない魚を箸で何度も返して確認するより、入れた位置を保って温めた方が崩れにくくなります。
6.厚い中心まで加熱する
厚さ1.5〜2cmの切り身は、再び煮立ってから4〜6分ほどで確認を始めます。厚い身を少し開き、骨付きなら骨際も確かめます。豆腐も割って中心を見ます。温度計があれば魚と豆腐の中心75℃で1分以上を確認します。
温度計がない場合は、魚の中心に生っぽい透明感が残る、豆腐の中心が冷たい、または判断に迷うときは、汁へ戻して静かに煮足し、同じ中心を再確認します。しいたけにも十分に火を通します。
7.煮えた分からぽん酢で食べる
中心まで加熱できた魚は、穴あきのお玉や広いへらで下から支えて取り分けます。脂があっても長く煮れば身がほぐれ、汁へ散ってしまいます。卓上では煮立ちを穏やかにし、食べられる量ずつ追加します。
皮なしの身は特に崩れやすいため、箸で端をつままず、お玉で下から広く受けます。骨付きで作った分は別皿で中骨、腹骨、ひれ周りを外し、骨を除いた身を取り鉢へ入れます。ぽん酢は少量ずつ付け、脂が重く感じるときは大根おろしを添えます。
途中で魚や野菜を足すとき
追加用の生魚は冷蔵庫から使う分ずつ出し、生魚用のトングで重ならないよう鍋へ入れます。汁とほかの具にも生の魚汁が触れるので、鍋全体を再び煮立て、追加した魚を工程6と同じ方法で中心まで加熱してから取り分けを再開します。
しめじ、水菜、春菊などを追加できます。火の通りやすい葉物は最後に少量ずつ入れます。大根やにんじんを加えたい場合は薄切りにするか、先に下ゆでしておきます。
野菜を増やすと水分も出て、鍋が冷めやすくなります。鍋いっぱいに具を積み上げず、加える回数を分けます。汁が減ったら湯や無塩の昆布だしを足し、塩やぽん酢は味を見てから調整します。
締めは骨を確かめて雑炊かうどんに
残った魚をほぐす前に取り出す
締めを作る前に、鍋の魚をいったん別皿へ取り出します。骨なしで下処理していても、身をほぐして取り残しがないかを確認します。骨付きの魚を使った場合は、汁も目の細かいこし器に通し、十分に骨片を除きます。
細かな骨片を取り除けない汁は、雑炊やうどんに使いません。ご飯へ混ぜると骨を探しにくくなるので、この段階で分けて確かめます。
汁に脂が厚く浮いて重そうなら、締めを入れる前に少量ずつすくって味を見ます。魚の風味を残しながら好みの濃さにしてから、ご飯かうどんを加えます。
雑炊はご飯の量を控えめにして加熱する
2人分なら、汁400ml程度に温かいご飯150〜200gから加えます。汁が濃ければ水で薄め、底から静かに混ぜながら、ご飯の冷たい塊が残らないよう中心まで十分に温めます。骨を確認した身を戻して中心まで十分に温め、好みで小ねぎを添えます。
卵を加えたい場合は、2人分に1個を別の器へ溶き、熱い雑炊へ回し入れます。底から静かに混ぜ、卵が全体に固まり中心まで十分に熱くなるよう加熱します。温度計があれば75℃で1分以上を確認します。
うどんは商品ごとの加熱方法に従う
ゆでうどん、冷凍うどん、乾麺では扱いが違います。冷凍うどんは表示に従って加熱し、乾麺は別の湯でゆでてから鍋へ加えると、汁が濃くなりすぎるのを防ぎやすくなります。魚や野菜が残る場合も、中心まで十分に温めます。
よくある失敗と対処法
魚が崩れて汁が濁った
火力を弱め、かき混ぜるのをやめます。魚の中心加熱が足りなければ静かに加熱を続け、火が通ったらお玉で広く支えて取り分けます。次回は野菜を先に煮て、魚を入れたあとに激しく沸かさないようにします。
白菜が硬いのに魚は煮えている
中心まで加熱済みの魚を先に取り出し、白菜をやわらかくなるまで煮ます。魚を戻すなら食べる直前に温める程度にし、野菜のために長く煮続けません。次回は芯をそぎ切りにし、魚を入れる前の加熱を長くします。
汁が薄く感じる
まず取り鉢のぽん酢の濃さを整えます。鍋の汁まで飲む場合は、魚のだしが出たあとに少量の塩で調整します。途中で水を足した直後に濃く味付けすると、煮詰まったときに塩辛くなるので少しずつにします。
衛生と保存の注意点
アカムツと同定できない魚、保冷や保存状態が分からない魚は食べません。釣魚の持ち帰りからの低温管理を行い、帰宅後は内臓や血を処理します。加熱すれば傷んだ魚も食べられるとは考えないでください。
生魚に触れたまな板・包丁・トングは洗浄し、材質に合う方法で消毒します。食べる箸とは分け、煮えた具には取り分け用のお玉や箸を使います。
保存用は食卓へ出す前に分ける
鍋はその場で食べ切る量を作るのが基本です。残す予定があれば、清潔なお玉で食卓へ出す前に分けます。あら熱が自然に抜けるまで長く待たず、浅い容器に小分けして氷水などで早く冷やし、冷蔵します。
冷蔵した分は早めに使い、温め直しは底から静かに動かして汁全体を沸かします。魚と豆腐、厚い野菜を開いて冷たい所があれば追加加熱し、再確認します。温度計があれば中心75℃以上を確かめます。卓上で長く常温にあった残りや、保存状態が不明なものは食べません。
冷凍するなら、食卓へ出す前に取り分けた汁と骨を除いた魚を、早く冷まして小分けにします。冷蔵庫で解凍してから十分に再加熱し、早めに食べます。豆腐や白菜は冷凍で食感が変わるため、汁と魚を保存して新しい具を加えると食べやすくなります。
保存用レシピまとめ
アカムツ(ノドグロ)のちり鍋の材料と手順を、一枚で振り返れます。


