サッパの酢漬けは、塩を当てた薄い身に、しょうがと昆布の甘酢をなじませる料理です。岡山で「ままかり」として親しまれる魚の、締まった身と甘酸っぱさを味わえます。半身の厚さを見ながら漬けると、薄いものを締めすぎずに仕上げられます。
このレシピは加熱しません。生食用として衛生管理され、アニサキス対策の冷凍条件も確認できる魚を使います。酢や塩に漬けるだけでは寄生虫対策になりません。魚を用意する前に、下の条件を確認してください。
サッパの酢漬けの材料(2人分)
頭・尾・中骨・腹骨・小骨・硬い腹縁を除いた皮付きの身を200g用意します。サッパは成魚でも小型で、細かな骨が残りやすい魚です。丸魚なら全長15〜18cm程度を作業の目安にし、骨を確認して除ける大きさを選びます。
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| サッパ(生食用の管理・寄生虫対策を確認できる皮付き半身) | 200g |
| 塩(下塩用) | 10g |
| 米酢または穀物酢(無調味) | 100ml |
| 上白糖 | 20g |
| だし昆布 | 約2g(5cm角程度、厚さで調整) |
| しょうが | 10g |
| 赤唐辛子 | 1/2本(好みで) |
下塩10gは後で表面から洗い流します。甘酢には塩を足しません。酢100ml・砂糖20gを基本にし、調味済みのすし酢や甘酢ではなく、無調味の酢を使います。
生食に使う魚の条件
釣ったサッパの魚種、衛生・保冷管理を確認します。この生食の手順では、アニサキス対策として魚の中心部まで−20℃以下になってから24時間以上保つ冷凍を行い、冷蔵庫で解凍して使います。
頭・内臓や骨を除いた身を薄く平らに包んで冷凍します。冷凍庫の設定や凍った外観だけでは、中心の温度と保持時間を確認できません。中心の条件を確認できない場合は生食に使わず、魚種・衛生・保冷管理が確かな魚だけを中心まで十分加熱する料理へ回します。
釣った直後の鮮度や早い内臓処理だけでは、寄生虫がいないとは判断できません。冷凍対策も、細菌や保冷不良をすべて解消する処理ではありません。魚種や保冷履歴が不明なもの、保冷状態が悪いもの、傷みが疑われるものは使わず、妊娠中の方、幼児、高齢者、免疫機能が低下している方には加熱料理を選んでください。
必要な道具
包丁、洗浄しやすいまな板、骨抜き、ペーパー、清潔な箸またはトング、魚を一層に並べられる浅い容器を用意します。容器はガラスなど酸に対応する食品用のものとし、蓋をした状態で冷蔵庫へ入ることを先に確かめます。
基本の作り方
事前に魚の下処理と必要な冷凍・冷蔵解凍を済ませ、使う当日に甘酢と薬味を用意します。以下は、事前の下処理から使う当日の味付けまでの工程です。塩を当てる時間と甘酢へ漬ける時間は、どちらも冷蔵庫で取ります。
- 魚の骨を取る:腹縁・腹骨・小骨の取り残しを除き、身の表裏や切り口も目で確かめます。水気を拭き、前述の中心冷凍と冷蔵解凍を済ませます。
- 甘酢と薬味を用意する:使う当日に酢と砂糖を混ぜて溶かし、汚れを拭いた昆布を加えて冷蔵します。しょうがをせん切り、種を除いた唐辛子を小口切りにします。
- 塩を当てる:身200gへ塩10gを両面に散らし、重ねずに並べて冷蔵庫で20分ほど置きます。
- 塩を流して漬ける:表面の塩を冷たい流水で短く流し、水気をすぐ拭きます。冷たい甘酢へ魚と薬味を入れ、冷蔵庫で20〜30分ほどなじませます。
- 食感を見て盛る:途中で一度静かに返します。20分ほどで一切れの味と硬さを見て、好みになったものから汁を切って盛ります。昆布は外し、食べる直前まで冷蔵します。
1.腹縁と骨を取り、身を確かめる
事前に丸魚から身を取る場合
体側のうろこを尾から頭へ軽くこすって落とし、頭・内臓を除きます。腹の縁に並ぶ硬い稜鱗は細い帯状に切り取ります。腹の血や汚れを短く洗って拭き、中骨に沿って左右の身を外します。
皮を下に置き、内臓の入っていたくぼみへ沿う腹骨の下に刃を寝かせてすき取ります。外側の腹縁とは別の骨なので、内側も確かめてください。尾とひれ際の硬い部分も除きます。
処理済みの身も、小骨を点検する
身の表裏と切り口を指の腹でそっとなぞり、残った骨を骨抜きでつかみます。根元の身を押さえ、骨の向きへ抜いてください。骨が折れる、薄い身が裂ける、先がつかめない部分は、その範囲を身ごと切り除きます。背側の細い身が残る形でもかまいません。
表裏と切り口を目でもよく見て、異物や見つけた寄生虫を除きます。アニサキスライトは見つける補助に使えますが、見逃しがあり、殺虫する道具ではありません。目視は冷凍対策と併用します。
残った身で正味200gを量ります。薄いものと厚いものを分け、水分を拭きます。丸魚から事前処理した身は、前述の中心部まで−20℃以下になってから24時間以上の冷凍と冷蔵解凍を済ませ、使う当日に次の工程2へ進めます。解凍済みの身は取り残しを確認し、下塩まで冷蔵します。魚をおろした後は手・包丁・まな板を洗浄し、生魚の汚れを薬味や盛り付け用の皿へ移さないようにします。
2.使う当日に甘酢と薬味を冷やしておく
酢100mlへ砂糖20gを入れてよく混ぜます。粒が溶けにくい場合は甘酢だけを酸に対応したステンレスなどの小鍋で軽く温め、清潔な容器へ移して十分に冷ましてから冷蔵します。生の魚を入れる時点で、甘酢も冷たくしておきます。
昆布の表面の汚れを湿らせた清潔な布で拭き、甘酢へ加えます。しょうがは洗って細いせん切りにし、唐辛子は種を除いて小口切りにします。薬味は使う当日の魚を扱う前に切り、覆って冷蔵します。
甘酢は魚を入れる前に清潔なスプーンで味見し、甘さを増やしたければ砂糖小さじ1程度から加えて溶かします。漬けた後で調味料を重ねるより、この時点で好みの甘さへ寄せておくと、魚の漬け時間を長くせずに済みます。
3.下塩は冷蔵で20分、水分を魚から離す
身200gへ塩10gを均等に振り、重ならないように並べて冷蔵庫へ入れます。20分ほど置いたら、出た水分を捨てます。薄い身は塩が入りやすいため、量と時間を目分量で増やさないようにします。
4.塩を流し、冷たい甘酢へ漬ける
飲用に適する冷たい流水で表面の塩を短く流し、すぐに清潔なペーパーで両面とくぼみを押さえます。水へ長く浸すと水っぽくなりやすいため、洗い終えたら水分を取って次へ進みます。飛沫が薬味へかからないようにし、使ったシンクも洗ってください。
魚を浅い容器へ一層に並べ、甘酢・昆布・しょうが・唐辛子を加えます。全体が沈まなければ清潔なスプーンで上へ汁を回しかけ、蓋をして冷蔵します。容器が広すぎる場合は小さめのものへ替え、汁が触れる深さを確保します。
20〜30分が味入れの目安です。途中で一度、身の下を支えて静かに返します。皮は薄く弱いため、何度もつまんだりかき混ぜたりせず、汁を回しかけて両面へ触れさせます。
5.酸味・塩味・硬さを見て引き上げる
冷蔵で20分ほど漬けたら、清潔な箸で一切れ取り、汁を軽く切って味見します。酸味、塩味、身の硬さを分けて確かめ、好みになったものは30分まで待たずに引き上げます。これは生食の条件を満たした魚の味付けの確認で、白さや硬さを安全の判定には使いません。
薄い身が先に締まったら、それだけ清潔な別容器へ取って覆い、冷蔵します。厚い身の味がまだ淡く、硬さにも余裕があれば、少し漬け足して再確認します。酸味を強くするためだけに長く漬けると身が硬くなるため、甘酢の調整は次回、魚を入れる前に行います。
昆布を外し、半身を崩さずに皿へ移してしょうがを添えます。汁は軽く切り、食べる直前まで冷蔵してください。寿司に使う場合も汁を切り、湯気がなくなったすし飯に合わせます。
味や食感が合わないとき
酸味・塩味が強い
汁から引き上げ、軽く汁を切って少量ずつ食べます。塩辛い場合は、次回の下塩の計量、置いた時間、塩粒の洗い残しを見直します。甘さの好みは魚を入れる前の甘酢で調整してください。
身が硬い・皮がはがれる
締まりすぎた身を元のやわらかさへ戻すのは難しいため、これ以上漬けずに引き上げます。次回は薄い身を分けて20分から確かめてください。皮がはがれた身は、下から支えて一切れずつ盛ります。
骨が当たる
硬い骨は飲み込まずに除き、残りの半身も取り残しを確かめます。酢へ長く漬けることを骨取りの代わりにせず、取り切れない部分は身ごと除いてください。
冷たく保ち、作った日に食べ切る
釣った直後からの保冷を続け、えら・内臓を早めに除いて扱います。保冷不良で生じたヒスタミンは、酢漬けや冷凍、加熱でも取り除けません。
釣獲後の衛生・保冷管理と必要な冷凍条件を確認できる魚だけを使い、冷蔵して当日食べ切る量を作ります。漬けても保存できる期間は延びません。食卓へ出した残りは保存分へ戻さず、生魚を漬けた甘酢や昆布も再利用しないでください。
身が白くなるのは酸でたんぱく質の状態が変わるためで、加熱した印ではありません。
保存用レシピまとめ
サッパの酢漬けの材料と手順を、一枚で振り返れます。


