広島県海田町に伝わる「さつま」は、焼いた魚の身をすりつぶし、味噌とごま、だしでのばしてご飯にのせる料理です。コノシロの小骨を焼いた後にも取り除き、黒ごまの香りと、味を含ませたこんにゃくを合わせます。ここでは頭なしのフィレと塩分のないだしを使い、2人分を作ります。
コノシロのさつまの材料|2人分
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| コノシロ(中骨・腹骨を除いた皮付きフィレ) | 200g |
| 油(魚を焼く分) | 5ml |
| 味噌 | 35g |
| 黒すりごま(白すりごまでも可) | 35g |
| だし(塩分を加えないもの) | 150〜200ml+こんにゃく用30ml |
| こんにゃく | 80g |
| 濃口しょうゆ | 5ml |
| 本みりん | 5ml |
| 小ねぎ | 15g |
| 温かい白飯 | 300g |
酒類を使わない場合は、本みりん5mlを水5mlと砂糖1gへ替えます。
必要な道具
魚は20〜25cm程度のコノシロから取った、身厚5〜8mmほどのフィレを想定します。直径26cm程度のフライパン、直径12〜14cm程度の小鍋、味噌用の小さめの別フライパン、すり鉢とすりこぎ、浅い容器、氷水を用意します。冷却を含め約40〜50分が目安です。味噌とだしの量は、最後にご飯へかけられるとろみと塩味で調整します。
作り方の流れ
- 仕上げ用だしを沸かして氷水で冷まし、小ねぎを刻みます。粒のいりごまを使うなら、先にすって別に取り分けます。
- 魚を三枚におろし、中骨・腹骨・抜ける小骨を除きます。水分を拭き、少量の油で皮側から焼き、返して厚い所の中心まで火を通します。
- 焼いた身をほぐし、皮と小骨を外します。薄く広げてもう一度確認し、すり鉢ですります。
- こんにゃくを下ゆでして細い短冊に切り、だし30ml、しょうゆ5ml、みりん5ml(酒類なしなら水5ml+砂糖1g)で煮含めて冷まします。
- 味噌は弱火のフライパンで香りが出る程度に焼きます。魚、すりごま、焼き味噌の半量をすり合わせ、冷ましただしを少しずつ150mlまで加えます。塩味をみて残りの味噌を足し、とろみをみてだしを追加します。
- 氷水を使って手早く冷やし、冷めたこんにゃくと小口切りの小ねぎを加えます。食べる直前に白飯へかけます。
だしと薬味を先に準備する
仕上げ用の無塩だし150〜200mlは一度沸かし、清潔な耐熱容器へ移します。底を氷水に当て、外の水が入らないように混ぜながら冷やし、使うまで冷蔵します。こんにゃく用のだし30mlは別に分けます。小ねぎは洗って水気を切り、清潔なまな板で小口切りにして冷蔵しておきます。
黒すりごまがなければ、白すりごまを同じ35g用意します。粒のいりごまを使うなら、この段階ですり鉢に入れて細かくし、別の器へ取り分けます。すり鉢を使わない場合はすりごまとフードプロセッサーを用意し、後の骨確認を終えた焼き身を機器が扱える温度まで冷ましてから使います。
骨を外しやすいよう、フィレの形を保って焼く
種類を確認でき、釣獲後から保冷したコノシロを使います。異臭、不自然な変色、保冷状態に不安がある魚は使いません。
うろこ、頭、内臓を除き、腹の血を洗って水分を拭いて三枚におろします。中骨と腹骨、抜ける小骨を除いて皮付きフィレにします。この料理は焼いた後にも骨を外すため、細かな骨切りはせず、できるだけ身の形を保って焼きます。
フライパンへ油5mlを薄く広げ、中火で温めて皮を下に置きます。皮に焼き色が付き、端がはがれるようになったら下から支えて返します。身側にも薄い焼き色が付いたら中心を確かめます。厚い所を少し開き、中心に透明感や生っぽさが残る場合や判断に迷う場合は、弱火にして蓋をし、追加加熱して同じ厚い所を再確認します。
食品用温度計があれば、細い中心用温度計を厚い身の側面から差し、中央を測ります。加熱の目安は中心75℃以上を1分以上保つことです。足りなければ加熱を続け、再確認します。色や見た目は加熱不足を見つける目安で、安全を保証するものではありません。
焦げが強くなるのに中心が生っぽい場合は、元の鍋を消火します。焦げていない部分を火にかける前の清潔な別フライパンへ移し、水30mlを加えて蓋をし、弱火で加熱を続けます。厚い身を開いて中心まで火を通します。焦げた油の処理は十分冷めてから行います。
焼いた身を広げ、小骨を二度確認する
加熱を確認した魚は清潔なバットへ移します。手で触る場合は扱える温度まで短く冷まし、清潔な手や箸で皮と骨を分けます。大きな身を骨の向きに沿ってほぐし、特に腹側、中央、ひれ際の硬い部分を確かめます。
身を薄く広げ、目で見て指や箸で触れ、残った細い骨を取り除きます。骨抜きを使う場合も、加熱後の身へ使う前に洗浄します。小骨はすりつぶした後には見つけにくくなるため、すり鉢へ移す前に確認を終えます。
骨を外した身は、清潔なすり鉢ですりつぶします。長く室温へ放置せず、ほかの準備で待つ場合は浅い容器へ分けて速やかに冷蔵します。丸魚の骨を煮出す方法もありますが、ここでは骨片が混入しにくいよう、別に用意しただしで仕上げます。
こんにゃくを細い短冊にし、下味を含ませる
こんにゃく80gは製品表示に従って下ゆでし、水を切って長さ3cm、幅5mm、厚さ2〜3mm程度の短冊にします。アク抜き不要の製品も、下ゆでの要否を表示で確認してください。
小鍋へこんにゃく、だし30ml、しょうゆ5ml、本みりん5ml(酒類を使わない場合は水5mlと砂糖1g)を入れて中火にかけます。沸いたら弱めの中火にし、時々混ぜて3〜5分、鍋底に少量の汁が残るところまで煮ます。乾くまで焦がさず、火を止めて清潔な浅い容器へ移します。
みりんを加熱してもアルコールが必ずゼロになるとは限りません。酒類を使わない場合は本みりん5mlを水5mlと砂糖1gへ替えます。厳密な回避が必要ならしょうゆ等の製品仕様も確認し、必要に応じてメーカーへ問い合わせてください。
味噌を軽く焼き、魚と黒ごまをする
魚を焼いた鍋はそのまま使わず、清潔な別のフライパンへ味噌35gを薄く広げます。弱火で1〜2分を目安に、へらで返しながら香りを出します。うっすら焼き色が付けば十分で、黒く焦がさないようにします。
すった魚へ用意したすりごま35gと焼き味噌の半量を加え、味噌の塊がなくなるまで合わせます。残りの焼き味噌は取っておき、だしを加えた後に塩味をみて足します。黒ごまなら色が濃く、白ごまなら淡い色に仕上がります。
魚とごまのペーストへ、先に冷やしただしを数回に分けて150mlまで加え、だまをほぐします。清潔な小皿に少量取り、ご飯と一緒に塩味を確かめます。薄ければ、取っておいた焼き味噌を少しずつすり混ぜます。
へらからゆっくり落ち、ご飯へかけると少し広がる固さが目安です。重過ぎる場合は、残りの冷たいだしを10mlずつ加え、合計200mlまで調整します。水分を一度に全量入れると戻しにくいので、途中で固さと塩味を確認してください。
手早く冷やし、小ねぎを加えてご飯へかける
合わせたさつまも、浅い清潔な容器に移して氷水へ底を当て、混ぜながら手早く冷やします。煮たこんにゃくも同様に冷まし、温かさが残らなくなってから汁気を軽く切って加えます。待つ間は覆って冷蔵し、室温で何時間も冷まさないでください。
先に刻んだ小ねぎの半量を冷めたさつまへ混ぜ、残りは仕上げ用にします。魚の下処理に使った手や器具は洗浄し、できあがったさつまや薬味へ魚の汁を付けないようにします。
食べる直前に温かい白飯300gを2つの器へ分け、さつまをかけて残りの小ねぎを散らします。魚の塊ではなく、すった身がごま味噌へ混ざり、とろりとご飯に絡む仕上がりです。冷たいさつまを温かいご飯へかけた後は、長く置かずに食べ切ります。
濃い、さらさら、ざらつくときの調整
味が濃い場合は、沸かして冷やした無塩のだしを10mlずつ足します。ご飯と一緒に食べる料理ですが、味噌の種類によって塩味が変わるため、しょうゆをさつま本体へ追加する必要はありません。
さらさらになったら、今回は汁気の多いさつまとして少量ずつご飯へかけます。次回はだしを減らして始め、少しずつ足してください。冷たいだしを少しずつ加える前に、魚・味噌・ごまを十分にすり合わせることも大切です。ざらつきが硬い骨によるものなら、追加ですって食べるのではなく、取り除けるか確かめ、除けないものは食べません。
ごまの粗い粒が原因なら、混ぜる前にごまを細かくすっておきます。味噌を焦がして苦くなった場合は、黒い部分を混ぜ込まず、別に量り直した味噌で作り直してください。
味噌の違いと、塩味・とろみを別々に直す
味噌を替えるときは、食塩相当量を同じ重量当たりで比べます。「甘口」は麹の割合でも変わるため、甘く感じることだけを理由に量を増やさないでください。基本手順で焼き味噌の半量を残すのは、魚・ごま・だしを合わせた状態で塩味を確かめるためです。途中の味見は、清潔な小皿へ取った分をご飯と合わせて行います。
とろみは、すった魚とごまに対して、だしをどれだけ加えたかで変わります。コノシロは小骨が多く、同じフィレ200gでも皮や骨を除いた後の身量はそろいません。だし200mlを使い切ることを目標にせず、基本手順の150mlから、へらの落ち方とご飯への絡み方を見ます。
薄めた結果ゆるくなったものへ味噌を足して固さを戻すと、塩辛さも戻ります。すでに全量を混ぜた後は、塩味ととろみを同時に元へ戻せるとは限りません。無理に煮詰めず、次回は味噌の一部と追加のだしを保留し、塩味が決まってから最後の固さを調整します。
すり鉢がないときと、白ごまへの替え方
フードプロセッサーを使う場合も、焼いたコノシロの皮と小骨を外してから使います。機器が扱える温度まで冷ました身と、焼き味噌の半量、ごまを合わせてから、だしを少しずつ加え、残りの味噌は塩味をみて足します。回している途中にへらを入れず、止めて電源を切ってから周囲の生地を寄せます。こんにゃくと小ねぎは刃にかけず、最後に手で混ぜて食感を残します。
黒ごまがなければ、白のいりごまをすって同じ35gで作れます。色と香りは変わりますが、ごまを抜いて味噌だけ増やすより塩味を変えずに合わせやすくなります。市販の練りごまは、すりごまと粒度や流動性が違うため、そのまま同量置換して同じとろみになるとは限りません。まずは材料表と同じ、いりごまをすったものを使ってください。
魚のさつまと白飯は分けて保存する
基本はその食事で食べ切る量を作ります。残す場合はご飯へかける前に取り分け、さつまは清潔な浅い容器で速やかに冷却して冷蔵します。米飯も室温に放置せず、さつまと分けて小分けにして冷蔵または冷凍します。
作り置きの日数だけで安全とは判断せず、元の魚の管理状態と調理後の冷却を確認します。残りを食べる場合は、小鍋などで底から混ぜ、全体が十分に熱くなるまで加熱します。米飯もほぐしながら温め、冷たい部分を残しません。温度計があれば、さつまと米飯それぞれの中心75℃以上を1分以上も確認します。冷却や保存が不適切だったものは、加熱し直して使いません。
保存用レシピまとめ
焼いた魚とごま味噌で作る「さつま」の材料と手順を、一枚で振り返れます。


