マトウダイの昆布締めは、白身の水分をほどよく抜き、昆布の香りとねっとりした口当たりを楽しむ料理です。薄く下塩をしたサクを昆布で挟み、冷蔵庫で締めてから切り付けます。身が細長く分かれていても、一段に並べて上下へ昆布を当てれば、それぞれの形を生かせます。
基本は、刺身用として処理・管理された皮なし・骨なしのサク200gで作ります。厚さの違う身を分けて包み、好みの締まりになったものから昆布を外すのがコツです。
調理前の確認:魚種・保冷・衛生管理と寄生虫対策を確認できる釣魚を使います。昆布締めや下塩は寄生虫対策にはなりません。先に後半の生食に使う魚の条件を確認してください。
マトウダイの昆布締めの材料(2人分)
魚の重さは皮と骨を除いた状態で量ります。サクは刺身に切る前の身のかたまりで、厚さ1〜1.5cmを目安に用意します。冷凍処理済みのサクは袋や容器に入れて冷蔵庫で解凍し、出た汁を除いてから使います。釣獲後からの管理状態を確認し、食べる当日に締める時間を確保してください。
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| マトウダイのサク | 200g(生食用・皮なし・骨なし) |
| 下塩用の塩 | 1g(魚の重量の0.5%) |
| 平たい乾燥昆布 | 約10×20cmを2枚。魚の上下を覆える量 |
| 米酢または穀物酢 | 大さじ1程度(15ml)。昆布を拭く用 |
| 大葉 | 2枚 |
| すだち | 1個 |
| 生しょうが | 5g |
| しょうゆ | 好みで少量 |
昆布は、平たく広げられる昆布締め用やだし用を選びます。寸法よりも、魚を重ねずに並べた上下を覆える広さを優先し、足りなければ未使用の昆布を足します。塩昆布やとろろ昆布はこの作り方には使いません。酢は砂糖や塩で味付けされていないものを用意します。
必要な道具
よく切れる包丁、安定したまな板、骨抜き、キッチンペーパー、食品用ラップ、浅い容器と蓋、盛り付け皿を用意します。塩1gは、少量を量れる微量表示付きのはかりで量ります。魚とは別の軽い小皿を使い、器の重さを差し引いてください。
下塩は冷蔵で10分、昆布で締める時間は4〜5時間が目安です。必要な冷凍処理と冷蔵解凍の時間は、別に確保します。
昆布締めの基本の作り方
- 魚を事前に処理する:皮と骨を除き、厚みをそろえ、後半の中心冷凍と冷蔵解凍を済ませる。
- 当日に薬味を用意する:大葉、すだち、しょうがを洗って水気を取り、すだちは半分、しょうがは細切りにして冷蔵する。
- 昆布を用意する:表面の付着物を軽く拭き、酢を含ませたペーパーで両面を湿らせる。
- 身に下塩をする:皮・骨を確認し、厚い身と薄い身を分ける。塩1gを両面へ振り、冷蔵で10分置いて水気を拭く。
- 昆布で挟む:魚を重ねずに上下から昆布を当て、ラップで密着させて包み、容器へ入れる。
- 冷蔵で締める:薄い身は2時間ほど、基本のサクは4時間ほどで一切れ味を見る。好みの締まりなら昆布を外し、軽ければ5時間程度まで調整する。
- 切って盛る:食べる直前に3〜4mmのそぎ切りにし、大葉、針しょうが、すだちを添える。
事前に魚の皮と骨を除き、冷凍・解凍する
皮と骨の処理は、下塩より前に済ませる
皮なし・骨なしのサクなら、下記の骨と水気の確認から始めます。丸魚や皮付きの身を使う場合は、先に皮と骨を除きます。さばき慣れていなければ、作業を始める前に釣魚の持ち込み処理に対応する店へ、生食用途と釣獲後の管理状態を伝え、サク取りを相談する方法もあります。
丸魚は、ひれと付け根の鋭い棘に注意し、頭・えら・内臓を除いて腹の血を洗い、中骨に沿って左右の身を外します。おろした皮付きの身は、腹側に残る骨を包丁で薄くそぎ取り、小骨を抜いてから皮を引きます。
皮付きの身は、長いまま皮を下へ置き、尾側に皮をつかむ部分を残して刃を入れます。皮をペーパーで持ち、刃を皮と身の境目に沿わせ、皮を軽く引きながら外してください。皮が途中で切れたら、残った端をつかみ直して続けます。
骨取りと皮引きを終えたら手を洗い、包丁とまな板を洗浄・消毒します。皮と骨を除いたサクの両面と切り口を明るい所で見て、指でそっとなぞります。残った骨は骨抜きで除き、身に付いたうろこを取り除きます。水気は清潔なペーパーで押さえます。待たせる身は覆って冷蔵庫へ戻しておきます。
身の分かれ目を生かし、厚さの違うものを分ける
マトウダイは、皮を引くと身の線に沿って細長く分かれることがあります。身の分かれ目に沿って切り分け、それぞれの形のまま使います。厚さ1〜1.5cmほどの身を基本にし、それより厚い所は、まな板と平行に包丁を入れて厚みを二つに分けます。
薄い尾側や小さく分かれた身は、厚いサクとは別の包みにします。先に昆布を外せるので、薄い部分だけが硬くなるのを抑えられます。
下処理したサクは後半の条件どおり中心部まで−20℃以下になってから24時間以上冷凍し、冷蔵庫で解凍します。以下の薬味・昆布・下塩は食べる当日に準備します。
1.薬味を先に準備する
生魚を出す前に、清潔な包丁とまな板で薬味を用意します。大葉とすだちは洗って水気を拭き、すだちは半分に切ります。しょうがは洗って汚れた皮を薄く落とし、薄切りを重ねてごく細く切ると、針しょうがになります。
薬味は魚の汁がかからない清潔な容器へ入れ、覆って冷蔵します。盛り付け皿も冷やしておくと、切った身を冷たいまま食卓へ出せます。
2.昆布は酢で軽く湿らせる
昆布に付いた砂などは、水で湿らせて固く絞ったペーパーで軽く拭きます。表面の白い粉までこすり落とす必要はありません。次に、新しいペーパーへ酢を含ませ、両面をさっと拭いて少し置きます。
指で曲げると魚の形に沿うくらいになれば使えます。まだ硬い部分があれば、その部分をもう一度湿らせて待ちます。酢15mlはペーパーへ含ませる量の目安です。昆布から液が滴るほどなら、余分な水分を押さえてから魚を挟みます。
3.解凍した身を確認し、塩1gで下塩をする
両面に薄く振り、10分後に水分を取る
解凍した身の残骨を確かめて除き、水分を押さえます。魚200gに対する塩は、両面を合わせて1gです。片面へ半量を少しずつ広げ、裏返して残りを振ります。細い身も含め、塩が一か所へ固まらないようにします。
清潔な浅い容器へ並べ、覆って冷蔵庫で10分置きます。表面や身の分かれ目ににじんだ水分を、新しいキッチンペーパーで軽く押さえます。表裏の水気が取れたら、そのまま昆布で挟む工程へ進みます。この量の下塩では、水に浸して塩抜きはしません。
4.魚を一段に並べ、昆布を密着させる
ラップの上へ昆布を一枚置き、サクを重ならないように並べます。もう一枚の昆布をかぶせ、はみ出す部分には昆布を足します。厚い身と薄い身を分けた場合は、それぞれの上下を覆います。
ラップを身の形に沿わせ、手のひらで軽くならしながら包みます。昆布と魚の間に大きな隙間が残ると、当たっている所だけ味が付きやすくなります。身をつぶさない力で上下をなじませ、包みを浅い容器に入れて冷蔵庫へ移してください。
5.薄い身から確認し、好みの締まりで昆布を外す
薄い尾側の包みは冷蔵で2時間ほど、厚さ1〜1.5cmのサクは4時間ほどで、包みを開いて確認します。清潔な包丁で端を一切れ切り、何も付けずに味わってください。
ほどよい弾力と昆布の風味が付いていれば、昆布を外します。まだ香りや締まりが軽ければ、包み直して冷蔵庫へ戻し、5時間程度まで調整します。端が硬くなったり、塩気や昆布の香りが強くなったりしたものは、その時点で外してください。
4〜5時間は味と食感を調整する目安です。釣獲後からの保冷・衛生状態も確認し、長く締めて保存期間を延ばすことはできません。昆布を外した身は、清潔な容器へ入れて覆い、食べる直前まで冷蔵します。
6.3〜4mmのそぎ切りにして盛る
サクの表面に水分がたまっていれば、ペーパーで軽く取ります。身の広い面を下に置いて安定させ、包丁を斜めに寝かせます。刃元から刃先までを使って長く引き、3〜4mmほどの厚さで一切れずつ切り離します。
最初の一切れで歯ごたえを確かめ、弾力が強ければ残りを少し薄く切ります。幅の狭いサクは、包丁をまな板に対してさらに浅い角度に寝かせると、切り口の面積を取れます。小さな身はその大きさのまま切り、無理に大きさをそろえなくて構いません。
冷やした皿へ大葉を敷き、切り身を少しずつ重ねて並べ、針しょうがとすだちを添えます。まずはすだちを少量搾って食べ、塩味が足りなければしょうゆを少し付けます。昆布の味を楽しめるよう、しょうゆは別添えにしてください。
締まり方がうまくいかないとき
塩辛い・硬い・昆布の香りが強い
まず昆布を外して、それ以上締まるのを止めます。薄めに切り、大葉や針しょうがと合わせ、追加のしょうゆは控えます。次回は塩を重さで量り、薄い身を別に包んで確認を早めてください。
水っぽく、昆布の味が弱い
包みの中に汁がたまっていたら、魚の表面を新しいペーパーで押さえます。身の重なりをほどき、昆布を上下へ当て直して包み、すぐ冷蔵庫へ戻します。基本の5時間程度を目安に味を見て、香りが控えめでも好みの口当たりになっていれば仕上げます。
次回は下塩後の水気と、昆布を湿らせた後の余分な酢を十分に取ります。水分を拭くことと昆布を密着させることの両方をそろえると、締まり方のむらを減らせます。
生食に使う魚の条件
釣ってからの保冷と衛生管理を確認する
生食に必要な条件を確認しても、食中毒のリスクを完全になくせるわけではありません。
釣った魚は魚種を確かめ、速やかに内臓を除き、低温を保ちます。釣り場からの扱いは釣った魚の持ち帰りと処理のしかたでも確認できます。魚が生きているときから筋肉に寄生虫がいる場合もあるため、早い内臓除去だけで対策を終えないでください。肝や内臓は生では食べません。
生食前に中心の温度と冷凍時間を確認する
この生食手順では、アニサキス対策として魚の中心部まで−20℃以下になってから24時間以上保ちます。下処理した身を重ねず薄く包んで冷凍し、冷蔵庫で解凍します。設定や凍った外観だけでは中心の温度と保持時間を確認できません。条件を確認できない場合は生食に使わず、魚種・保冷・衛生管理が確かな魚だけを中心まで十分加熱する料理へ回します。
冷凍は傷んだ魚を元に戻す方法ではなく、すべての細菌や毒素の問題を解消するものでもありません。
身の確認と調味料の役割を分ける
明るい所で身の表面と切り口を確認し、見つけた寄生虫は除きます。目視や確認用ライトは補助で、見つからないことだけでは安全を保証できません。通常の料理で使う塩・酢・しょうゆ・わさびでもアニサキスは死滅しません。
魚種と保冷・衛生状態が確かでも、寄生虫対策が不十分な魚は、中心まで十分に火を通す料理へ回します。魚種や保冷履歴が分からないもの、保冷が不適切だったもの、傷みが疑われるものは食べません。幼い子ども、妊娠中の人、高齢者、免疫機能が低下している人には、生食を避けて十分に加熱した魚を用意します。
釣獲後からの管理を確認し、その日の食事で食べ切る
家庭では、必要な冷凍・解凍を済ませ、食べる当日に昆布で締め、その日の食事に食べ切る量を用意します。これは作る量と段取りの目安で、「当日なら安全」という意味ではありません。締めている間も保存時間は進むため、釣獲後からの保冷・衛生状態を確認し、長く保存する目的では作りません。
仕上がったら昆布を外し、切る前の身を清潔な容器で覆って冷蔵します。切って盛ったら早めに食べ、食卓へ出した残りを翌日の生食用として保存しないようにします。釣った魚について、同じ日数で生食できると一律には決められません。
昆布締めでよくある質問
薄切りの刺身も4〜5時間締めればよいですか?
薄切りはサクより昆布に触れる面が多く、味が入り、硬くなるのも早いため、同じ時間では締まりすぎることがあります。この作り方では刺身に切る前のサクを用意し、締め終わってから薄く切ってください。
使った昆布で、次の魚を締められますか?
次の昆布締めには、未使用の昆布を用意します。生魚に触れた昆布は乾物の袋へ戻さず、使っていないものと分けて処分してください。
マトウダイの昆布締めは、下塩後の水気を取り、細長い身へ昆布をむらなく当てるのが要点です。好みの弾力になったら昆布を外し、すだちと薬味を添えて、白身と昆布の風味を味わいましょう。
保存用レシピまとめ
皮を引いたマトウダイの昆布締めの材料と手順を、一枚で振り返れます。


