マトウダイのあら汁は、カマや中骨の周りに残った身を煮出し、味噌で仕上げます。あらは塩を振ってから霜降りし、血やぬめりを落とすと、魚の旨味を残した汁になります。
頭を使わず、身付きのあらに大根と豆腐を合わせる作り方です。一度だしをこして骨のかけらを取り除き、あらを具として戻すときは骨付きであることを確かめながら盛り付けます。
マトウダイのあら汁の材料
2人分の具だくさんの汁です。あらは頭と内臓を除いたカマ、中骨の周り、切り落としなどで300g、身の厚さ1〜2cm程度のものを使います。
| 材料 | 2人分の目安 |
|---|---|
| マトウダイの身付きあら | 300g(頭・内臓を除く、骨付き) |
| 下塩 | 3g |
| 水 | 800ml(仕上げの補充分は別) |
| だし昆布 | 4g |
| 無塩の酒 | 大さじ2(30ml) |
| 大根 | 80g |
| 木綿豆腐 | 100g |
| 味噌 | 30〜36g(だしなし米味噌を目安) |
| 青ねぎ | 10g(小口切り) |
骨なし切り身で作る場合は、後半の「切り身で作る場合と薬味の変更」を選んでから材料を用意します。あら300gを切り身200gへ替え、下塩3gを省き、水は600mlにします。
必要な道具
あらが収まる鍋、大根をゆでる別鍋、あらを取り出す網じゃくし、耐熱性の細かいざると受けるボウル、食品用のこし布またはだしこし対応のペーパー、計量カップを用意します。包丁・まな板、お玉、生のあらを扱う箸と盛り付け用の清潔な箸、あらを受ける皿も使います。食品用中心温度計はあれば使います。普通の汁椀なら3〜4杯にも分けられる量です。味噌は種類で塩分が違うため、最後に味を見ながら足します。
基本の作り方
- 大根を2〜3mm厚に切って下ゆでし、箸で切れる柔らかさにする。豆腐は2cm角、青ねぎは小口切りにする。
- あらの血や内臓の残りを除き、塩3gを振って冷蔵庫で10分置く。
- あらへ熱湯をかけ、冷水で血やぬめりを落とす。使った湯と水は捨てる。
- あら・水800ml・昆布4g・酒30mlを温め、煮立つ直前に昆布を取る。穏やかに煮て骨際の身を確かめ、不安があれば追加加熱して再確認する。
- あらを取り出し、汁をこして600mlに量りそろえる。具に戻すあらの骨も確認する。
- 汁で大根と豆腐を温め、あらを戻して中心を確かめる。十分温まってから火を弱めて味噌を溶き、椀へ盛って青ねぎを散らす。
工程ごとの詳しい作り方
1.大根と青ねぎを洗い、豆腐を切る
大根は洗って皮をむき、2〜3mm厚のいちょう切りにします。別鍋の湯で5〜7分を目安にゆで、箸で軽く切れるくらいに柔らかくなったらざるに上げます。硬ければ追加でゆで、同じように箸で確かめます。
豆腐は2cm角に切り、青ねぎは洗って小口切りにします。大根をあらと一緒に最初から煮ると、汁をこすときに取り分けにくくなるので、先に別ゆでしておきます。魚を扱う前に済ませ、切った豆腐と青ねぎは別の清潔な容器で覆って冷蔵します。
2.あらの切り口を洗い、下塩をする
マトウダイを三枚におろしたあとは、カマや中骨の周りにも白身が残ります。丸魚の頭・エラ・内臓を取り、腹の血を洗う共通操作は帰宅後の下処理で確認できます。頭を除き、鍋と椀へ収まる大きさのあらを用意します。骨の太いところを家庭用の小さい包丁で無理にたたき切ると刃が欠けることがあるため、切り分けは釣魚の持ち込み処理に対応する店に相談するか、関節や切りやすい部分で分けてください。
内臓の残りや血の塊を取り、骨のくぼみを流水で短く洗います。鋭い骨先やヒレの付け根へ指を押し当てないようにします。洗ったら水を切り、塩3gを全体へ振って冷蔵庫で10分置きます。これは味を決める塩ではなく、次の霜降りと洗浄で表面を整えるための下塩です。
3.霜降り後、骨の周りまで汚れを取る
あらを耐熱性のざるへ並べ、熱湯を全体へ回しかけます。表面が白くなったら冷水へ取り、浮いたぬめりと血の塊を指先でそっと落とします。鋭いくぼみへ指を押し込まず、届かない汚れは箸先でつまんで取ってください。皮の際や骨の重なったところも見て、長く水へ浸けずに引き上げます。
この段階で使う湯と冷水は捨てます。霜降りの湯をそのままだしにすると、落とした汚れを汁へ戻すことになります。あらは後で鍋に入れて中心まで加熱するため、表面が白くなっただけで食べられる状態とは考えないでください。
4.穏やかな火加減でだしを取る
鍋にあら、水800ml、表面を軽く拭いた昆布4g、酒30mlを入れて中火にかけます。煮立つ直前に昆布を取り出し、浮いたアクをお玉ですくいます。汁が激しく沸いたら弱火へ落とし、鍋の縁から小さな泡が上がる状態で煮ます。
骨に付いた身が外側からほぐれ始めたら、身が一番厚くついたあらを取り、箸で身を開いて骨際まで見ます。骨際に半透明でねっとりした身が残らず、白身がほぐれるか確かめます。生っぽい部分がある、ほぐれない、火通りに迷う場合は鍋へ戻して穏やかに煮続けます。その後に同じ厚い部分を開き、骨際まで再確認してください。形や厚さが違うあらは複数確認してください。
温度計がある場合は、厚い身の側面から先端を中心へ入れ、75℃以上を1分以上保って加熱します。下回れば、再び75℃以上になってから保持時間を確保します。鍋底や骨へ先端を当てずに測ります。時間・色・ほぐれ方は調理の目安で、この温度と時間を外観だけで確認できるわけではありません。
強く沸かし続けると身と皮が細かく崩れて汁が濁り、骨片も混ざりやすくなります。お玉で何度も底から混ぜず、アクを取るときだけ表面を静かにすくいます。
5.あらを取り出して汁をこす
加熱できたあらを網じゃくしで清潔な皿へ移します。鍋の汁を、食品用のこし布やだしこし対応のペーパーを敷き、耐熱ボウルの上へ安定して置いた細かいざるでこし、細かい骨片や固まった血を取り除きます。熱い汁を一度に流さず、お玉で少しずつ移してください。汁が自然に落ちるのを待ち、ざるに残った骨や皮は除きます。
こした汁を耐熱の計量カップで600ml量り、足りない分は水で補います。多い場合は使う600mlを取り分けます。これで味噌を入れる前の汁量がそろい、煮詰まり具合による塩辛さの差を抑えられます。
具に戻すあらは、外れかけの鋭い骨や細かな皮の切れ端を取り除きます。骨付きのまま盛るときは大きな骨の位置を見て選びます。子どもなど骨を取り分けにくい人へは、清潔な箸で身を外し、細かい骨がないか一口分ずつ確かめてから戻してください。汁をこしても、具の骨は残ります。
6.大根と豆腐を温め、最後に味噌を溶く
こした汁600mlを清潔な鍋に入れ、下ゆでした大根と豆腐を加えて温めます。汁が再び穏やかに煮立ったら、大きい豆腐を割り、中央まで熱くなったか確かめます。大根も温まったらあらを戻し、骨際の身を開いて内側まで十分熱くなったか確かめてください。豆腐や身の中心が冷たい・ぬるい場合や温まり方に迷う場合は、さらに煮て中心を再確認します。
火を弱め、味噌30gをお玉の中で汁と溶いて加えます。味を見て足りなければ、残りの味噌を少量ずつ足します。味噌が溶けたら煮立ち始める前に火を止め、椀へ盛って青ねぎを散らします。
失敗しやすいところと直し方
生臭さや苦味がある
血や内臓の残り、霜降り後の洗浄不足、強い沸騰を確認します。軽い魚の香りが気になるなら、次回は下処理を丁寧にし、しょうが2gの薄切りを工程4の煮出しから加える方法があります。腐敗臭や異常な苦味があるもの、保存不良が疑われるものは食べません。
味噌を入れたら塩辛くなった
湯を大さじ1ずつ足して調整します。次回はこした汁の量を600mlにそろえ、味噌を30gより少なめから溶いて味を見ます。だし入り味噌を使う場合も少量ずつ溶き、魚のだしと合わせた味を確かめてください。
骨の小片が混ざった
中心まで加熱した具を取り出して汁をこし直し、具も一つずつ確かめます。加熱途中なら、こした汁と具を別鍋へ移し、工程4と同じように厚い付着身の骨際まで煮て、開いて再確認してください。細かな骨片を十分に除けたか分からない汁は使いません。小さいあらを細かくたたき割るより、鍋に入る範囲で大きさを残すと確認しやすくなります。
塩気は足りるのに、だしが薄く感じる
塩味が十分なら味噌を増やさず、そこで止めます。次回は味噌を入れる前の汁を少量冷まして味見し、カマや中骨にどれくらい身が付いていたかも振り返ります。同じ骨付き300gでも、身が少ないあらでは風味が変わります。あらを長く煮続けるより、身に火が通ったら取り出して、汁だけを調整してください。
こし直しても白い濁りが残る
大きな身の細片や骨片をこすことと、細かく分散した脂などの濁りを消すことは別です。強く沸かした汁は、目の細かいざるやこし布を通しても透明へ戻るとは限りません。こす作業は骨片を取り除くために行い、濁りだけを消すために何度もこし直す必要はありません。
切り身で作る場合と薬味の変更
あらがない場合は、皮付き・骨なしの切り身200gを4cmほど、厚さ1〜1.5cmに切って使えます。材料表のあら300gと下塩3gを使わず、水は600mlに替え、ほかの材料は同量です。切り身の骨を指で確かめ、汚れのないものは水気を拭きます。
工程1で大根を下ゆでした後、鍋に水600ml・昆布4gを入れて温め、煮立つ直前に昆布を取ります。酒30ml・大根・切り身・豆腐を加えて穏やかに煮ます。厚い魚の中心に半透明でねっとりした部分が残らず、ほぐれるか、豆腐の中央まで熱いか確かめます。生っぽい・冷たい・迷う場合は追加で煮て、同じ点を再確認してください。温度計があれば魚の中心75℃以上を1分以上保ちます。あらの塩・霜降りと汁こしの工程は省き、魚と豆腐に火が通ってから工程6と同じように味噌を溶いて仕上げます。骨付きのあらから取るだしとは風味が変わります。
薬味を替えるなら、青ねぎ10gの代わりに三つ葉5gを洗って2cmほどに切り、椀へ盛った汁に添えます。
衛生と保存・温め直し
あらは血や内臓が付着しやすいので、魚をおろしたら早めに処理して冷蔵します。マトウダイと確認できない魚や、保冷の経過が分からないもの、傷みが疑われるあらは使いません。
あらに触れた手、まな板、包丁は洗浄し、加熱済みの汁を入れる器具と分けます。このあら汁では、頭・肝・その他の内臓は使いません。
できた汁はその食事で食べ切る量にします。保存する分は食卓へ出す前に取り分け、浅い容器に小分けして速やかに冷まし、冷蔵します。翌日までを目安に食べ切り、魚の釣獲後からの管理状態と豆腐の表示期限も確認します。鍋のまま常温で一晩置かないでください。
温め直しは汁を混ぜながら沸騰するまで加熱し、厚い魚の骨際と大きい豆腐の中心を開いて、内側まで十分熱いか確かめます。冷たい・ぬるい部分がある場合や温まり方に迷う場合は追加で煮て、中心を再確認してください。中心温度計があれば75℃以上を1分以上保って加熱します。味噌の香りより十分な再加熱を優先し、食べる分だけ温めます。保存中の温度や経過に不安があるものは食べません。
よくある質問
頭を入れなくてもだしは出ますか?
カマや中骨周りに付いた身からだしが出ます。頭を除いたあら300gを使い、煮出した汁を600mlに量りそろえてから味噌を加えます。
霜降りは省けますか?
あらには骨の際の血やぬめりが残りやすいため、この作り方では霜降りを行います。切り身の味噌汁へ替える場合は、汚れのない切り身なら水分を拭いて使えます。
血と骨片を除き、味噌は最後に調える
あらの下塩と霜降りを済ませたら、静かに煮てだしを取り、一度こします。汁量をそろえ、大根と豆腐を温めてから味噌を溶くと、マトウダイの旨味を生かしたあら汁に仕上がります。
保存用レシピまとめ
頭を使わないマトウダイのあら汁の材料と手順を、一枚で振り返れます。


