釣ったヒラメを洋風のおかずで楽しむなら、表面を香ばしく焼き、バターの香りをまとわせるムニエル(バターソテー)は相性のよい料理です。ヒラメはきめ細かな白身で、薄力粉を薄くまとわせて焼くと、外側は香ばしく、内側はふっくら仕上がります。
ただし、ヒラメは身がやわらかく、切り身の厚さも部位によって違います。表面に水分が残ったまま粉を付ける、焼いている途中で何度も動かす、最初からバターだけで長く焼く、といった調理では、衣がべたついたり、身が崩れたり、バターだけが先に焦げたりしやすくなります。
このレシピのポイント
- 丸魚なら、両面のうろこを落として五枚おろしにする
- 塩を振った後に出る水分をしっかり拭く
- 薄力粉は焼く直前に薄く付け、余分な粉を落とす
- 皮付きは皮目から焼き、焼き始めはむやみに動かさない
- 油で火を入れ、バターは後半に加えて焦げを抑える
- 厚い背側と薄い腹側・尾側は、同じ時間で焼き切らない
ヒラメのムニエルの材料
3〜4人分の目安です。すでに切り身になっているヒラメなら、下処理の工程を省いて調理できます。
| 材料 | 分量の目安 |
|---|---|
| ヒラメの切り身 | 4切れ(合計350〜500g程度) |
| 塩 | 小さじ1/3〜1/2程度 |
| こしょう | 少々 |
| 薄力粉 | 大さじ2〜3 |
| サラダ油・米油・オリーブ油など | 大さじ1 |
| バター | 20g |
レモンバターソース
- バター:10g
- 白ワインまたは酒:大さじ1
- レモン汁:小さじ1〜2
- しょうゆ:小さじ1/2(好みで)
- 刻みパセリ:適量
有塩バターを使う場合は、下味の塩と仕上げのしょうゆを控えめにしてください。白ワインがなければ酒でも作れます。
付け合わせ
アスパラガス、ブロッコリー、じゃがいも、きのこ、ミニトマトなどが合わせやすいです。ヒラメは焼き上がりを長く待たせない方がおいしいため、加熱に時間がかかる付け合わせは先に用意しておきます。
ヒラメのムニエルの基本の作り方
- 丸魚なら下処理する:両面のうろこ、エラ、内臓、血を処理し、五枚おろしにします。
- 骨と皮を整える:腹骨や残った骨を処理し、皮付き・皮なしを決めます。
- 切り身へ塩を振る:5〜10分ほど置き、出てきた水分を丁寧に拭き取ります。
- 付け合わせとソースを準備する:焼き始める前に盛り付けまで準備します。
- 薄力粉をまぶす:焼く直前に薄く付け、余分な粉をはたきます。
- 皮目から焼く:油を熱し、皮付きは皮目を下にして焼き色を付けます。
- 裏返して中心まで火を通す:厚さに合わせて火を弱め、必要なら短時間ふたをします。
- バターを加えて仕上げる:後半にバターを加えて回しかけ、魚を取り出してレモンバターソースを作ります。
詳しい作り方
1.丸魚はうろこ・内臓を処理して五枚おろしにする
ヒラメを丸ごと持ち帰った場合は、茶色い面だけでなく白い面も確認し、細かなうろこを取り除きます。ヒレ際や頭の周囲は残りやすいので、尾側から頭側へ指を滑らせ、ざらつきがないか確かめます。
エラと内臓を外したら、中骨周辺に残る血や膜を冷たい流水で手早く洗い、キッチンペーパーで水分を拭きます。頭を落とし、中央の中骨に沿って切り込みを入れ、背側・腹側の身を骨の形に沿わせながら少しずつ外します。表裏から4枚の身が取れ、中骨を合わせて5つに分かれれば五枚おろしです。
ヒラメは横幅が広いため、骨ぎりぎりを一度で切ろうとするより、刃先で中骨の形を感じながら数回に分けて進める方が身を崩しにくくなります。歯が鋭いため、口元へ手を置かないよう注意してください。
釣った魚を持ち帰るまでの締め方や冷却を確認したい場合は、こちらも参考になります。

2.腹骨と残った骨を取り、皮を残すか決める
腹側の身には腹骨が残るため、皮側を下にして包丁を寝かせ、骨の丸みに沿って薄くすき取ります。身の中央を指の腹でなぞり、硬い部分が残っていれば骨抜きで処理します。抜くときは真上へ強く引かず、骨が入っている方向へ沿わせると白身を傷めにくくなります。
小骨をつかみやすい道具を探している場合は、骨抜きの選び方も確認できます。

皮付きと皮なし、どちらが向く?
- 皮付き:香ばしさを出しやすく、焼くときに身を支えやすい。うろこを丁寧に落とし、皮が縮みやすい場合は浅い切り込みを入れる。
- 皮なし:やわらかな白身を均一に食べやすい。崩れやすいので、返すときは幅のあるフライ返しで全体を支える。
3.塩で余分な水分を引き出し、薄力粉は直前に付ける
切り身へ塩を薄く振り、冷蔵庫で5〜10分ほど置きます。表面へ水分がにじんだら、乾いたキッチンペーパーで押さえるように拭きます。ここで水分を残さないことが、粉のべたつき、油はね、焼き色の付きにくさを防ぐ大きなポイントです。
こしょうを振り、焼く直前に薄力粉を両面へ薄くまぶします。粉が厚いと口当たりが重くなり、余分な粉がフライパンで焦げやすくなるため、最後に軽くはたいて落としてください。粉を付けた状態で長く置くと、魚の水分を吸って表面がべたつきます。
4.油を熱し、皮付きは皮目から焼く
フライパンへ油を入れて中火で温めます。皮付きなら皮目を下にして入れ、焼き始めの30秒〜1分ほどはフライ返しで軽く支えると、皮の反りを抑えやすくなります。強く押し付け続ける必要はありません。
切り身を入れた後は、焼き色が付く前に何度も動かさないことが大切です。皮や薄力粉がフライパンへなじむ前に動かすと、衣が剥がれたり身が割れたりします。皮の縁が色づき、身の側面が下から白く変わってきたら裏返す目安です。
5.裏返したら厚さに合わせて中心まで火を通す
幅のあるフライ返しで切り身全体を支え、静かに裏返します。薄い腹側・尾側は短時間で火が入りやすいため、早めに確認します。厚い背側は火を少し弱め、必要ならふたをして短時間だけ蒸し焼きにすると、表面を焦がさず中心まで火を入れやすくなります。
焼き時間は切り身の厚さやフライパンによって変わります。時間だけで決めず、最も厚い部分を確認してください。家庭で加熱調理する食品は、中心部75℃で1分間以上を安全確認の目安にできます。
6.バターは後半に加え、溶けたバターを回しかける
ヒラメへほぼ火が入ったところでバター20gを加えます。フライパンを軽く傾け、泡立つバターをスプーンですくって魚へ数回回しかけます。これでバターの香りを表面へまとわせながら、乾燥しやすい上面もやさしく温められます。
最初からバターだけで長く焼くより、油で基本の火入れをしてからバターを加える方が、バターの乳固形分が焦げる前に魚へ火を通しやすくなります。バターが濃い茶色になり、焦げたにおいが出た場合は、無理にその油をソースへ使わないでください。
7.魚を取り出し、レモンバターソースを作る
焼けたヒラメを温めた皿へ移します。フライパンに焦げた粉が多ければキッチンペーパーで軽く拭き、白ワインまたは酒を加えて短く煮立てます。バター10g、レモン汁を加え、好みでしょうゆを少量加えます。
レモン汁は長く煮詰めすぎると酸味の印象が変わるため、最後に加えて軽くなじませる程度でも十分です。パセリを散らし、ヒラメへかけます。
8.付け合わせと一緒に盛り付ける
皮付きなら香ばしい皮目が見えるように盛り、ソースは全体を浸すほどかけず、皮の食感を残したい部分には少量にします。レモンを添えると、食べる直前に酸味を追加できます。
切り身の部位・状態で焼き方を変える
| 切り身 | 特徴 | 焼き方の調整 |
|---|---|---|
| 厚い背側 | 中心まで火が入りにくい | 裏返した後は火を弱め、必要なら短時間ふたをする |
| 薄い腹側・尾側 | 乾燥しやすい | 先に火通りを確認し、必要なら早めに取り出す |
| 皮付き | 反りやすいが香ばしくできる | 皮目から焼き、最初だけ軽く支える |
| 皮なし | 身が割れやすい | 粉を薄く付け、幅のあるフライ返しで一度だけ返す |
| 解凍した切り身 | ドリップが出やすい | 冷蔵庫で解凍し、表面の水分を特に丁寧に拭く |
ヒラメのムニエルをおいしく仕上げる5つのコツ
水分を拭く工程を省かない
ムニエルで最も差が出やすいのが水分管理です。釣魚は切り身の状態が均一とは限らないため、塩を振った後だけでなく、五枚おろし後や解凍後にも表面を確認してください。
粉は「薄く、直前」が基本
薄力粉は魚の表面を保護し、焼き色とソースの絡みを助けますが、厚く付ければよいわけではありません。余分な粉をはたき、すぐフライパンへ入れます。
返す回数を増やさない
ヒラメは白身が繊細です。片面へ十分な焼き色を付けてから返し、必要以上にひっくり返さない方が形を保ちやすくなります。
バターは香り付けとして後半に使う
油とバターを併用すると、バターだけで焼くより焦げをコントロールしやすくなります。仕上げにバターを回しかけると、少量でも香りを感じやすくなります。
焼けた身をソースの中で煮続けない
ヒラメへ火が入ったらいったん取り出し、ソースはフライパンで短く仕上げます。魚をソースの中で煮続けると、せっかくのふっくらした身が締まりやすくなります。
アレンジ|同じ焼き方から味を変える
しょうゆバター
レモン汁を少なめにし、しょうゆを小さじ1程度へ増やすと、ごはんに合わせやすい味になります。小ねぎや大葉を添えてもよく合います。
ガーリックバター
油へ薄切りにんにくを入れて弱火で香りを出し、にんにくはいったん取り出してからヒラメを焼きます。にんにくを入れたまま強く焼くと焦げやすいので注意します。
きのこレモンバター
ヒラメを取り出した後のフライパンできのこを炒め、白ワイン、バター、レモン汁を加えると、ボリュームのあるソースになります。
アラは別料理に回す
五枚おろしで残った頭と中骨は、エラや血を丁寧に処理して十分に加熱すれば、潮汁などへ活用できます。

ヒラメのムニエルを作るときの注意点
釣った後から調理まで低温を保つ
加熱料理でも、保冷状態が悪かった魚を焼けば元の状態へ戻るわけではありません。釣った後は速やかに冷やし、持ち帰った後も冷蔵・冷凍で管理します。強い異臭、明らかな変色、身の著しい崩れなど、状態に不安がある魚は無理に使用しないでください。
生魚に触れた器具と盛り付け用の器具を分ける
生のヒラメを切った包丁、まな板、トングなどを、そのまま加熱後の魚やサラダに使わないようにします。途中で手を洗い、器具も洗浄してから使い分けてください。
厚い切り身は中心まで十分に加熱する
表面へきれいな焼き色が付いていても、厚い背側の中心が十分に加熱されていない場合があります。最も厚い部分を確認し、中心部75℃で1分間以上を一般的な加熱目安として考えます。
骨は盛り付け前にもう一度確認する
五枚おろしにしても骨が残る場合があります。子どもや高齢者へ取り分ける場合は特に、焼く前と盛り付け時の両方で指先や箸を使って確認してください。
保存と温め直し
作ったムニエルを保存する場合は、食べる分を清潔な箸で取り分け、粗熱が長時間残らないようにして冷蔵します。長く常温へ置いたものは保存へ回さないでください。
温め直しは、電子レンジだけだと衣がしっとりしやすいため、最初に電子レンジで中心を温め、その後にフライパンやトースターで表面を短く焼く方法も使えます。乾燥しやすいので加熱しすぎには注意しつつ、中心まで十分に温めます。
よくある失敗と対処法
| 失敗 | 主な原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 粉がべたつく | 表面の水分、粉を付けてから放置 | 水分を拭き、粉は焼く直前に薄く付ける |
| 身が崩れる | 早く動かす、何度も返す | 片面を十分焼き、幅のあるフライ返しで一度だけ返す |
| バターが焦げる | 最初からバターだけで長時間加熱 | 基本の火入れは油で行い、バターは後半に加える |
| 表面は焼けたのに中心が生 | 厚い切り身を強火だけで加熱 | 裏返した後は火を弱め、必要なら短時間ふたをして中心を確認 |
| 身がパサつく | 薄い部分の焼きすぎ | 腹側・尾側は早めに取り出し、ソースで煮続けない |
ヒラメのムニエルにあると便利な道具
五枚おろし後の骨確認では先端が合う骨抜き、丸魚を扱う場合は魚体の幅を確保できるまな板があると作業しやすくなります。
骨抜きの選び方はこちらで確認できます。

魚を捌くためのまな板を選ぶときは、長さだけでなくヒラメの横幅も考えてください。

焼く工程では、切り身の中央だけでなく広い範囲を支えられるフライ返しが便利です。皮なしや薄い腹側は特に、身全体を支えて返すと崩れにくくなります。
献立・盛り付けのアイデア
レモンバター仕立てなら、じゃがいものロースト、温野菜、きのこソテー、グリーンサラダなどを添えるとまとまりやすくなります。しょうゆバターなら、ごはん、みそ汁、青菜のおひたしを合わせても違和感がありません。
大きなヒラメが釣れた場合は、すべてをムニエルにせず、厚い背側をムニエル、薄い腹側を天ぷらや刺身向けに分けると、部位ごとの特徴を生かしやすくなります。
まとめ|水分・粉・火加減でヒラメをふっくら焼く
ヒラメのムニエルは、複雑な調味料よりも下処理と焼き方で仕上がりが変わります。丸魚なら五枚おろしにし、骨を確認したら、切り身へ塩を振って余分な水分を拭きます。薄力粉は焼く直前に薄く付け、皮付きは皮目から焼き、厚さに合わせて中心まで火を通します。
バターは後半に加えて香りをまとわせ、焼けた魚を取り出してからソースを仕上げると、焦げと焼きすぎを抑えやすくなります。厚い背側と薄い腹側を同じ時間で扱わず、状態を見ながら調整してください。
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